館のショールーミング対策も振れの要因

 加えて、館側(商業施設)のショールーミング対策によるEC売上げの店レジ計上も振れの要因と推察される。

 ECから店舗へというウェブルーミングと店舗からECへというショールーミングを駆使して利便を競う今日、店舗の品揃えが限定されたり欠品すればタブレット接客でEC在庫を案内するのは必然で、売上げがECに流出する可能性は否定できない。半面でECやSNSから店舗に顧客を誘導するウェブルーミング効果も小さくないとはいえ、売上課金制(最低保証付け歩合家賃)が大勢を占める館としてはECへの売上流出を食い止める必要がある。

 自社でECモール(館ECモール)を運営している大手デベはECへのアクセスを館ECモールに限定し、館ECモールの手数料率と店舗の課金率をそろえたり、館ECモールの手数料率を高めにして(売上規模が小さいから高めになる)店舗レジに計上するよう仕向けている。店舗から館モールに飛ばした売上げも店舗レジに計上するよう誘導しているのだから、EC売上統計が振れる要因の一つと考えられる。

顧客のショールーミングは止められない

 館ECモールの店舗が欠品していた場合、顧客のデバイスからテナントのECサイト(自社サイトないしは他モール店舗)に飛ぶのを規制するのは難しい。館ECモールの品揃えが店頭在庫に限定される場合など、接客段階で顧客のデバイスからテナントのECサイトに誘導するケースが頻発していると推察される。それも一部の館では無視できない売上規模になっているようだ。

 館側としてもテナントのタブレット持ち込みを規制したり、出店契約書にショールーミング規制を盛り込んだりしているが、顧客のデバイスからのショールーミングは規制できない。EC発ブランドのショールーミングストアを導入する場合など固定家賃に割り切り始めているから、遠からず固定家賃制へ移行せざるを得ないだろう。それが困難な消化仕入れの百貨店など一体、どうするのだろうか。オムニチャネルな利便に背を向けて従来の課金体制に固執するのも限界があるのではないか。

「EC比率」という概念も消えて行く 

 顧客利便を競えばECサイドからも店舗サイドからもC&Cが急進するから、ECか店舗かという区分けは困難になっていく。さまざまなC&C利便が競われる中、統一された仕分け基準を求めるのは無理で、「EC比率」という概念も意味をなさなくなっていく。

 その一方、SNSも絡めてウェブルーミングとショールーミング、決済IDという経済圏囲い込み、さまざまな受け取り利便が競われていけば、百貨店や商業施設が売上げに課金するという仕組みの存続も難しくなるのではないか。館側としてもC&Cの現実を直視して課金体制を根源から見直すべきだろう。