4月末に経済産業省が発表した「電子商取引に関する市場調査」(17年EC統計)での衣料・服飾雑貨ECの伸び率が7.6%に留まった(EC比率は11.54%)という数字には違和感があったが、ECに関する統計値や予測値はわが国のみならず欧米でも相当な振れ幅があり、一体いずれを信用してよいのか困惑してしまう。

 わが国の衣料・服飾雑貨ECの17年度伸び率は、個別企業のEC売上げを積算してECモールとの重複分を差し引いた正味で14.5%伸び(EC比率は12.3%)、当社主宰のSPAC研究会メンバー企業の集計では25.5%も伸びていた(EC比率は13.1%)。米国の衣料・服飾雑貨EC比率も16年で18%を超えて20%に迫っているという認識が一般的だったが、インターネットリテール・オンラインアパレルレポートは16年で23.3%、17年は27.4%まで上昇したと推計している。

C&C売上げが店舗に計上されている!

 どうして各調査でこんなに振れ幅があるのかと思案していたら、SPAC6月研究会のアンケートでC&C売上げの計上が店舗とECに分散しているのを見て腹に落ちた。C&C(クリック&コレクト)とは『ECで買って店舗で受け取る』あるいは『ECから店舗在庫を取り置いたり、店舗に取り寄せて試す』という店舗をECの利便拠点とする一方、ECから店舗に顧客を誘導するウェブルーミング効果も大きい。

 それによれば、「EC受注品の店出荷」こそ該当全社がECに計上していたものの、「EC受注品の店渡し」は3分の2、「ECからの店在庫取り置き」は6割が店舗に計上していた。「EC受注品の店出荷」はわが国ではネットスーパーを除けば極めて例外的だし、「ECからの店在庫取り置き」による売上げを店舗に計上するのは店舗在庫が売れるのだから分かるが、「EC受注品の店渡し」を店舗に計上しているのには驚いた。

 C&Cを積極的に行うアパレル企業はまだ少数で、SPACメンバー企業の回答数も限られるから全体的な傾向とは即断できないが、C&C売上げの少なからぬ部分が店舗売上げに計上されているのは間違いないだろう。

 このようなC&Cケースをどちらに計上するかでEC比率は大きく振れる。キタムラのEC比率は宅配だけだと12.3%だが、店受け取りを加えると38.0%に跳ね上がる(18年3月期単体)。C&Cが定着している英国で店受け取りをECに計上すると、衣料・服飾雑貨のEC比率が過半に迫るという驚愕する調査も出てくる。衣料小売りチェーンのECでは店出荷が過半を占める米国で、これを店舗に計上する比率が高いとEC比率は20%に届かなくても、ECに計上すれば前述した27.4%という数字になるのかもしれない。