地方都市で商売をする魅力

 

 バブルの真っ盛りの当時。私は赤堤のアパートに住んでいたのですが、その向かいにある畑の持ち主のおばあさんと仲良しになって、時々、立ち話をしていました。

 ある日、「今週も不動産屋さんが来て、先週よりも50万円上がったわ」という。

 私は100坪の土地が50万円上がったのかと思っていたのですが、それは1坪のことでした。みるみる目の前の土地が1坪100万円、150万円、200万円、250万円と上がっていきました。

「これじゃ到底、東京で家も店も持てないな」と思い、地方を考えるようになりました。そこで、うちにいた子たちは地方の地元で店を持つようになりました。

 鳥取県の米子にうちから出て店を構えている子がいて、その店を訪ねたところ2階でバーをやっていました。

 カウンターに座ったら小さな「シッタカ」という貝が出てきたんですね。

 そいつがこんなことを言う。

「この貝は息子が小学校に行く前に毎朝、一緒に海に取りに行ってます」と。

 そんなことを聞くと、「ああ商売っていいものだな」と思います。飲食業はどんなことがあっても生きていけるという感じです。

 次の日、その子から朝、突然電話がかかってきて、「宇野さん、これからゴルフに行きませんか」という。そんなにいきなりのことでゴルフができるのかと思っていましたが、「大丈夫、行けます」という。東京ではゴルフ場まで2時間、3時間かかり、3万円、4万円とられる時代でした。米子では30分もかかりません。

 それで車で案内してもらっていたら、2階建てで緑の屋根の素敵なおうちが見えてきて、「あれが俺の家です」という。それを見たときに、「バー1店持っているだけで家が建つのか」「地方都市で商売するのは絶対いいな」と思いました。