撮影/杉田容子
 

さる6月26日、料飲稲門会が開催した経営セミナー、宇野隆史氏(株式会社楽コーポレーション代表)による「“おもしろい”を売ろう!」の内容をまとめた。料飲稲門会(会長、桑原才介)とは早稲田大学OBの飲食業関係者、飲食業に興味を抱く学生等で運営されている交流会。早稲田大学関係者でなくても友好会員として活動への参加を歓迎している。現在、7つの委員会(イベント委員会、ビジネス交流委員会など)、6つの部会(日本ワイン部会、日本酒部会など)、同好会の活動を行っている。
 このたびの経営セミナーは、前半は早稲田大学OBで“居酒屋の神様”と称賛される宇野氏が自身の経営哲学を披露し、後半は宇野氏と早稲田大学OBの飲食業の実務家5人を交えたパネルディスカションとなっている。
 会場である早稲田奉仕園のホールには80人が参集し満席となり、宇野氏はじめ飲食業実務家たちのトークに熱く耳を傾けた。

「独立開業者養成道場」の側面を持つ繁盛店を展開

 

 筆者は、早稲田大学を卒業後、柴田書店『月刊食堂』と商業界『飲食店経営』と飲食業界の経営専門誌の記者をしてきた。2014年に独立してからフードサービス・ジャーナリストとしての活動をしている。料飲稲門会ではセミナー委員会の委員長を務めている。

 筆者が『月刊食堂』の編集部に配属されたのは1987年で、当時の居酒屋は大衆居酒屋チェーンが大きく隆盛していた。

 その当時、宇野氏の居酒屋は東京・経堂や下北沢を拠点として、これらとは全く真逆の路線をとっていたが、常にあふれんばかりの繁盛を呈していた。その繁盛ぶりは今日も同様。例えていうと、テント小屋の小劇場の熱気である。従業員とお客さまとの距離がとても近い。このような店には多くのファンがリピーターとなり、またその雰囲気に引かれたお客さまが従業員となって、宇野氏の元で修業をして巣立ち、そしてまた個性的な居酒屋を展開していく。このように宇野氏の店は「独立開業者養成道場」の側面を持ち、宇野氏のDNAが全国に拡散している。

 この宇野氏は、6月に3冊目となる『たった3品で繁盛店ができる』という書籍を上梓された。過去の書籍のタイトルに『トマトが切れればメシ屋ができる』というものがあるが、この本の中には「これからの飲食店は、トマトが切れるだけではやっていけない」というフレーズが出てくる。宇野氏の発想が常にアップデートしている証であろう。