比べる相手は、過去の自分

 今は、できるだけ天才と比べることはやめて、対自分で比べるようにしています。どんなに仕事ができなくても、自分基準で振り返れば意外と一年前よりは多くのことを学んでいたりします。

 天才の人にはどんどん活躍して、大きく世界を変えていってほしいと切に願っていますが、残念ながら、誰もが天才になれるわけではありません。

 そして私を含めた普通の人は、自分が好きなことや興味を掘り下げていくことの方が、仕事ができるようになる近道なのだと思っています。嫌なことはなるべくやりたくないけれど、好きなことなら何とかやり続けられます。

 そう考えを変えてからは、自分にできるレベルまで落とした仕事をコツコツやるようにしました。考え方を少しでも前向きにするため、今でも自分ができることになるべく時間を割けるようにしています。

 他にも長く働くとパフォーマンスが落ちることが分かったので、グッと集中するタイミングだけ全力を出すペース配分に変えました。なるべくできることだけ続けられる仕組みづくりを、それこそ今も必死に考えています。その根底にあるのは「天才になれない自分」です。

 できないからこそ、できる人とは違う観点で勝負する。面倒くさいから、そういった人たちに向けてのサービスを考える。それは「できない人にしかできない」ことだと思うのです。

 自分が置かれた状況が同じでも、「だからこの業界や会社はダメなんだよ~」と言いながら働き続けるのと、「ダメな業界だから、ちょっとでも変えたい」と思いながら働くのでは、同じ状況でもその後のパフォーマンスが大きく変わってきます。

 有名なコップの水理論―コップの水が「もう半分しかない」のか、「まだ半分ある」のか―を、自分の人生として実践できたら、割と生きやすくなるのではと思います。

 とにかく嫌じゃないことから始めて、それができたら好きなことや得意なことを探してみる。そこから自信を付けて、徐々に仕事ができるようになっていけばいいと思います。

 人生100年時代、どのみち私たちは長く働かなくてはいけません。働く時間だって短くないのだから、せっかく働くなら、自分が楽しいと思えることを少しずつ増やして近付いていければいいと思います。失敗は、いつか正解で上書きすればいいのです。自分の選んだ選択肢を正解にするんだというような覚悟を持ってほしいです。