食べ放題業態が内包する矛盾

 通常の飲食店であれば、“おいしいものを、いっぱい食べてもらいたい”と素直に願うでしょう。

 おいしいもの、といえば“当店の看板料理”であり、値段が張る一品になります。それを、いっぱい食べてもらいます。すなわち、高単価料理のオーダー点数を上げて、店の売上げと利益をアップさせるわけです。

 しかしながら、焼肉きんぐでは、それが真逆に作用します。

 お客にとって価値の高い食材は、カルビ、ハラミ、ロースです。特にファミリー客は食材の値段に敏感なので、ここぞとばかりに牛肉をチョイスします。筆者が他のテーブルをのぞいても、豚肉や鶏肉やご飯ものは稀で、牛肉の皿ばかりが並んでいる印象です。

“おいしいものを、いっぱい食べられたら利益が飛ぶ”――こうした矛盾を内包するのが焼き肉の食べ放題になるのでしょう。

課題は「焼き肉店らしい楽しみ方」を伝えられるか

 池田氏は原価を抑制する発想は毛頭ないと念を押しながらも、「焼き肉店なので、サラダから始まり、タン、ホルモン、塩モノ、ロース、カルビ、ハラミと続き、最後は、ビビンバとスープ、デザートといった順序で、満足していただける方向に持っていければ」と考えているようです。消費者の成熟化が求められます。

 食材原価は変動費であり、売上げによってスライドしますが、人件費は一部変動するものの売上げを上げれば売上げに占める比率は下がります。家賃や広告費、水光熱費の比率も下がります。