食べ放題は大きな潮流である一方、少子高齢化への課題も残している

 外食業界を分類する際に、「寿司」と「回転寿司」は全くの別業種としてくくられます。オバマ前米国大統領が訪店した「すきやばし次郎」と郊外のファミリーに人気の「スシロー」を同列には語れませんよね。「板前が握る寿司店」と「レーンが運ぶ寿司店」とは事業領域が異なるのです。

 今、これと同じことが焼き肉業界で進行しています。それが本稿のテーマです。

叙々苑が「焼き肉にワイン」もありにした

 少し古い話をします。焼き肉店の近代化に最初に取り組んだのが「叙々苑」の創業者、新井泰道氏(現・会長)です。1976年に開店した「JOJOEN六本木本店」は、赤い絨毯に間接照明、片膝を落とす丁寧な接客、美しい盛り付け、煙対策などに注力し、“大人の女性をデートに連れていける店”として業種のイメージを一新します。その後、叙々苑は高級焼き肉店の代名詞として現在は58店舗を展開しています。

叙々苑のアップグレード業態「游玄亭」新宿店。客単価は1万5000円前後

 ちなみに2016年に社長に就いた創業者の長男、新井昌平氏は、父親から託されて02年に新宿小田急ハルク店をプロデュースします。このときに入り口近くに巨大なワインセラーを設置して業界を驚かせました。今でこそ『焼き肉にワイン』は普通の光景ですが、当時、父親の泰道氏は“やりすぎ”と考えていたようで、「息子はワインっていうけど、焼き肉といったらビールなんじゃないの?」と記者(私)に本音を漏らしています。

 確かに今でもビールが王道です。ただしワインも“あり”になりました。