業績の低迷が続き、出遅れたEC進出も実験段階を否めないしまむらだが、どうして顧客とすれ違ってしまうのだろうか。堅苦しい業績検証は販売革新2018年5月号『優等生の安全運転が追い詰めたしまむら 旧弊を絶って新たなプラットフォームへ』で詳説したので、主力業態の「しまむら」に絞って店頭を顧客目線で見直してみた。

顧客が望む姿に矯正された「しまむら」

 7月も末のセール末期ということもあり、『以前より高くなった』『SPA臭いカセット企画が目立ち、宝探し感覚が薄れた』という指摘は感じられなかった。シーズン初めはそんなきらいがあったとしても、『買わない』という顧客の意思表示にねじ伏せられ、顧客の望む品揃えと価格に強制的に追い込まれたように見える。

 SPA的カセット企画はバラ残に崩れ、あるいはサイズ別などに分散編集され、売価変更で激安価格になり、期中調達の激安オフプライス商材がラックにひしめいて、お世辞にもキレイとはいえないものの、ロス・ストアーズ的宝探し感覚が回復していた。そんな売場にいかにも「しまむら」らしい顧客が次々と訪れて物色する有様は、『顧客との関係が強固に確立された「しまむら」という一種の“社会システム”はもはや企業の意志で勝手に動かせない』というしがらみを感じさせる。

 大衆的な主婦層に支持されて全国の生活立地に1419店(企業総体では国内2125店)を展開する「しまむら」は主婦層の生活と生計に密着しており、彼女たちと乖離した品揃えも価格も運営も彼女たちの離反を招いて継続できず、業績を維持しようとすれば矯正されざるを得ない。最寄り生活立地の衣料消費を担う「しまむら」は、好むと好まざるにかかわらず顧客と不可分の関係にあるようだ。