デザインやカラー、スタイルを変えた2体のマネキンを併設するディスプレー。1つのシーンの複数展示は着用イメージを喚起し、お客に選ぶ楽しさを提供する。

「サービス オブ ザ・イヤー」とは、抜き打ちで専門の調査員がお店に訪問し、買物や食事をして、接客や店舗などのサービスレベルを評価する「覆面調査(ミステリーショッピング)」による店舗コンテストです。

 2014年から毎年開催し、調査店舗数も初回の1661店、第2回が2145店、第3回が2929店、第4回が3330店、そして今回から飲食部門も加わり、物販4945店、飲食588店、合計5533店と昨年の1.5倍となりました。

 本連載では、「サービス オブ ザ・イヤー2018」で優秀な成績を修めた店舗を紹介します。

紳士服コナカ鎌ヶ谷店は千葉県鎌ケ谷市に立地。顧客の8割は男性客だが、夫婦や家族で来店した女性客が礼服やリクルートスーツなどを購入するケースも増えているという。

 コナカは、『サービス オブ ザ・イヤー』が創設された2014年度から5年連続で優秀企業に選ばれた常連受賞企業だ。18年度の今回は、紳士服コナカ鎌ヶ谷店がホスピタリティ大賞に選ばれた。

 鎌ヶ谷店は02年3月にオープン以来、16年間顧客づくりに注力し、その6、7割がリピーターだという。同店の販売員はお客の購入履歴を把握することで、「以前ご購入されたあの商品とコーディネートできます」「こちらの色・素材がお客さまのお好みに近いですよね」などとアドバイス。お客は「自分を分かってくれている販売員」として信頼を寄せ、それがリピーターとしてしっかり根付いていく原動力となっている。

 また、170坪と広い店内のどこにいてもホスピタリティあふれる出迎えを実現するため、目線を遮らない高さで商品陳列の什器を統一。高さのあるディスプレーは通路を遮らない場所に配置。さらに全ての販売員が常に入り口に向いた角度で作業をする。これは来店したお客とアイコンタクトを取るための仕掛けとなっている。

従業員が入れ替わっても同じ水準堅持

片野哲也店長は店長歴12年のベテランだが、同店に就任して1年。多くのリピーターに支持される理由は、レベルの高い接客を行ってきた歴代従業員の努力の賜物という。

 前述の通り、コナカは5年連続でサービス優秀店舗を輩出しているが、同社にはどの店でも同じサービスをお客に提供することを目的にした接客プログラムや店舗づくりなど、さまざまなサービスに対するマニュアルが存在する。実施完成度が低い店舗があれば、エリアマネージャーがフォローし、チェーン店としてのレベルの統一を図る仕組みだ。

 また2カ月に1回、集合研修の実施や、全店舗に毎週配信される教育プログラムを基に行われるタイムリーな従業員教育、毎日行うロールプレーイングでの実践的な対応力の定着など、接客力向上に注力している。

 しかし、コナカの接客はこのマニュアルだけでなく個店対応との両輪で満足度を高めている。社員は一定のスパンで店舗の異動があるが、これはさまざまな地域の店舗での接客体験を積むことで、違った目線からの接客法を身に付ける方策の一環だ。

 鎌ヶ谷店に代表される2代、3代に渡ってお付き合いの続く顧客が多いのは、コナカが目指している「店舗の従業員が入れ替わっても常に同じサービス提供ができる」ことを通じて、地域に支持される店づくりが実現できている証左ともいえる。

 

【お知らせ】『サービス オブ ザ・イヤー2018』が2018年6月30日に発売になりました。優秀店舗の事例研究や、エリア・業態・立地などを切口にした専門家による傾向分析などを掲載。最新の小売・サービス業のトレンドを知る上でも欠かせない1冊となっています。