窓口でお札を押さえている猫。浅草演芸ホールの看板猫、ジロリはご覧の通り、よく働く猫なんです。

ジロリは3歳のサバトラ猫。シュッとした小顔で体重は約6キロあります。

 高齢で引退した先代、クロを継ぎ、2代目看板猫に就任したのは2年前の8月のこと。それ以来、ジロリを楽しみにしている猫好きの演者さんや、ジロリ目当てに訪れるお客さんのハートをわしづかみにしています。

 シルバーに輝く被毛に、縞に入る黒毛の粋な柄。シュッとした顔つきに透き通るグリーンの瞳。こんな男前なルックスなら、なるほど納得です。

 ジロリは見た目だけではなく中身もイケています。チケット売場での看板猫としての活躍はもちろん、夜はネズミ退治に大忙しの毎日。しかもテレビ、雑誌の取材までもこなす超がつくほどの働き者なのです。

 日中は、主に浅草演芸ホールの切符売場の小部屋で過ごしています。普通の猫ならあまり人目につかない所に隠れそうなものを、ジロリはあえて? 窓口の台に乗り、その存在をアピールしています。道行く外国人観光客も写真を撮らずにはいられません。疲れてくると今度はガラスに寄りかかり、チケットや木戸銭を通す穴から手を伸ばしてリラックス。ハッキリ言って邪魔なのだけど、猫好きのお客さまは思わずニコニコ顔になり大好評です。

まさえさんに抱っこされてホール内を歩くと、「よう、ジロリ!」と声がかかる人気者です。

 猫が苦手な人もいるので、そんなときにチケット購入のサポートをしているのが、出札係のまさえさん。ジロリのお世話係でもあります。日々、ジロリや浅草演芸ホールの情報をツイッターなどSNSで発信しています。

 先代のクロちゃんも含め、自宅では4匹の猫を飼っているほど、猫好きなまさえさん。彼女にとってジロリは犬みたいな猫だそう。犬? 確かにまさえさんの腕にガブガブと噛みついている様はその通りだけど……。聞けばジロリ、ひとりでいるのが苦手らしい。だから人に対して物怖じせず、自分から近づいて行くんですね。

 もともとジロリは、浅草演芸ホールに出演している「にゅうおいらんず」のメンバーが経営する喫茶店に、ある日ふらりと現れた猫。寂しくて入ってきたのかもしれませんが、その縁で浅草演芸ホールに紹介されることに。喫茶店のソファーで堂々とくつろぎ、店内をじろりと見回していたことから、名前はジロリとなりました。

 現在は浅草演芸ホールで住み込みで暮らしているので、社員さんが帰ればひとりきりになります。昼間は笑い声や鳴り物が響くホールががらりと一変、夜の静寂が訪れます。その静けさの中、ホール内をパトロールして本業のネズミ退治にいそしんでいると思われます。これまでの成果は5匹。演芸ホールのヌシといわれる大ネズミを取り逃がしたこともありましたが、以来、ヌシの姿を誰も見ていないのでジロリに恐れをなして逃げ出したのでしょう。何だか、こんなお話も落語のネタになりそうです。

ユニークな動きの相方ぶり。しん乃さんの新作猫落語のお稽古でしょうか?

 浅草演芸ホールに出演している猫好き噺家さん「桂しん乃さん」に取材のお手伝いをしてもらいました。定期的に保護猫カフェなどで猫落語を披露されている落語家さんです。もちろんジロリとも、とっても仲良し。まるでお稽古をしているようないい写真が撮れました。

 人慣れしているジロリのこと、もし、こんなふうに高座に上がることができたら、看板猫、ネズミ駆除係、広報部長に加え、噺家としての顔を持つことができますね。

保護された猫なので真相は不明ですが、アメリカンショートヘアの血が入っているかもしれません。
ガブガブ嚙みつき攻撃で、まさえさんの腕は傷だらけです。
朝(11時頃)と夕方(5時頃)はキップ売場で会える&起きている確率が高いそうです。
といってもぼんやりと休んでいます。夜間パトロールが忙しいせいでしょうか?
ジロリの隙間からチケットなどのやり取りをしますが、かなり邪魔なようです。
おはやしのお姉さんもジロリにメロメロです。
外国人観光客もジロリを見つけて思わず近寄って撮影中。
まるで高座に上がった落語家さんです。
ジロリの決めポーズ。とても写真映えする猫です。
お稽古部屋の桂しん乃さんとジロリ。腰紐に夢中で稽古が進みません。

 

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    「浅草演芸ホール」
    住所/東京都台東区浅草1-43-12 
    営業時間/年中無休 昼の部11時40分〜16時30分 夜の部 16時40分〜21時
    料金/大人2800円(特別興行の場合は時間・料金に変更あり)
  • TEL/03-3841-6545
桂しん乃

長野市生まれ、三重県四日市市育ち、玉川大学芸術学科にて声楽を学ぶ。2008年~2017年、落語協会にて修行。2017年7月、落語芸術協会、桂伸治に入門。
趣味はねこ、猫、オペラ、宝塚。
和やかな高座をめざしております。しん乃としての初高座は人前でなく猫前、ジロリの前で小咄「猫の名前」をべんきょうさせていただきました。