「ゲストハウス」と聞いて、どういうイメージを抱くだろうか?

 バックパックを背負ったお金のない若者が泊まる、2段ベッドがギッシリ並ぶ汗臭いドミトリー。大広間でギターを抱えた宿主が歌い、「さぁ、みんなで!」とけしかける……。

フリーペーパーとWebサイト、Facebookで情報発信して日本の旅の新しい形を伝える「ゲストハウスプレス」

 もし、今もそんなマイナス・イメージしか抱けないようだったら、せっかくのビジネスチャンス――しかも空き家物件の活用、地域コミュニティ再編、町おこしの発信基地、インバウンド需要の獲得……といった今後さらに求められる商機を見逃すことになる。

 ゲストハウスとはそもそも、旅館業法でいう「簡易宿所」に分類される宿泊施設だ。基本は相部屋の宿。

 宿泊施設というと最近は民泊にばかり注目が集まるが、ゲストハウスもここ数年、特に京都や大阪では急増していて、ガイドブックも続々出版。全国のゲストハウスを丁寧に紹介するフリーペーパー「ゲストハウスプレス」も発行されている。

最近のゲストハウスは個性豊かで、滞在が旅の目的に

 最近のゲストハウスの多くは古民家や空き家、空きビル物件をリノベーション利用したものが多く、どこも個性豊か。その多くで宿主や仲間がリフォームを施し、自分たちが目指す宿の形を作る。リフォーム段階から地域コミュニティが関わり、最初は遠巻きに見ていた近隣の人たちが徐々に加わり手伝い、完成後もそこに集まって地域の寄合所のようになっていくことも多い。中には地元の空き家再生プロジェクトなどのNPOが主体となってゲストハウス作りを進め、外から移住してきた人たちが始める場合もある。

 またゲストハウス単体としてあるだけでなく、「ゲストハウス+@」、ギャラリーやイベント・スペース、小さな図書館などを併設し、地域住民も集いやすい工夫がされているところも多い。

 面白いのは、ゲストハウスを拠点とした旅人の多くが観光地巡りを楽しむというより、ゲストハウス滞在自体を旅の目的とし、近隣のカフェや銭湯、食堂、書店、パン屋、居酒屋、古道具屋など、そこにある日常を楽しむことだ。それは「暮らしに滞在する」という新しい旅の形。ゲストハウスが増えることは、日本の旅の形が変わること。新しい価値観だ。同時に今までにない人の流れができて、地域活性を促し、新しい消費や生き方がそこに育っていく。