衣料品の過剰供給と需給ギャップは年々ひどくなり、値引き販売を繰り返しファミリーセールやアウトレットまで駆使しても供給量の過半が売れ残るという惨状が定着している。当社主宰SPAC研究会メンバーアンケートでも歩留まり率(※1は年々低下し、今年5月のアンケートではアパレルメンバー平均69.3%、リテイラーメンバー平均76.9%だった。リテイラーメンバー平均の方がやや高いのは、在庫消化運用のスキルとサイクルの差に加え、仕入れ商品については何らかのリスク分担があるゆえと推察される。

 定価で半分が売れ、残りが平均5割引で売れたら歩留まりは75%だから、定価で売れたのは半分強だったと推察される。SPACメンバーはかなり好成績な方で業界平均はアパレル/リテイルそれぞれ5ポイントほど低いと思われるから、定価で売れる率は百貨店や商業施設のカード会員優待を含めても4割前後に留まるのではないか。

 こんな状況が続けば消費者側も定価で買うとだまされた感を否めないから、キックオフやセール、ファミリーセールやアウトレットなど何らかの値引き販売で買うのが当たり前になっていく。それがさらに定価販売を追い詰め、売る側は利益確保のために調達原価を切り下げ、それがまた顧客を定価から遠ざけてしまう。この悪循環はどうにかならないものだろうか。

(※1)歩留まり率:総定価投入額に対する結果総販売額の比率で、その差は値引きと残品だ。ちなみに5月のSPACメンバーアンケートでは期末バーゲン後の残品率はアパレルメンバー平均11.3%、リテイラーメンバー平均9.2%だったが、業界平均はもう一回り多いと推察される。