厚生労働省のデータによれば、平成26年時点で専業主婦世帯は687万世帯、1114万世帯が共働き世帯と発表されています。数値は昭和55年時点とほぼ逆転、女性の社会進出や雇用形態の変化、少子高齢化など複合的な要因で、共働き世帯の割合は今後も増加していくと推察されます。

 この連載では実際に共働きしている家族を料理・買物・生活という切り口で取り上げ、どんな日常を送っているのかショートエピソード形式で毎週お届けします。

第3話 中間管理職・優樹の目線

 よろしく頼むよ、と言われた書類に手を付けられたのは終業時刻を過ぎた18時半だった。激高型の部長にもう解決済みのトラブルが見つかり、説明を求められ、報告がなかったことに対して怒られていたせいだ。

 午前中は後輩の仕事のチェックでつぶれて、午後は会議に出席して、今日やる予定だった作業は手付かずで残っている。

 自分の仕事が何もできなかったのに、もう夜になってしまった。

 机の脇には、今週中に提出しなければならない書類の山。来週の競合プレゼンに向けて、他にも読み込んでおきたい資料もある。でも、疲れて頭が働かない。

「今日はもう帰ろう」

ーーー

 娘が産まれたのとほぼ同時に俺の昇進が決まり、初めてグループの指導責任者を任された。上がった給与で家族を養い、もっともっと大切にするんだ。

 そう心に誓ったはずだったのに、結果は上と下の板挟みで、評価されにくいマネジメントと数字で分かりやすい仕事の両立に苦しめられている。給料のアップ幅と労働時間の長さが全然見合っていない。

 45分の通勤電車を乗り継ぎ、バスを降りて帰り道にあるコンビニに寄る。ビールと一瞬迷うが、まだ残る平日を意識して安い缶チューハイとツマミを買う。

 あまり遅いと飯を食べる気もしないので、夕飯代わりだ。……といっても、時間は22時。今日はまだ早い方か。

 今は、娘の華と週末全力で遊ぶことが俺の趣味となっている。

「ハナちゃ~ん、パパ帰ってきたよ~」

 ガバッと起きてニコニコする娘に、先ほど部長に怒られた嫌な感情も吹き飛ぶ。

「ちょっと起こさないで。今寝そうだったのに」

「あぁ、ごめんごめん。ハナちゃん、また明日ね~」

 寝室のドアを閉めると、華のキャッキャと甲高い笑い声が聞こえる。もっと遊びたいな。そのためには、休日前に早く仕事を片付けないと。

 愛娘と長い時間を過ごせる時短の妻をうらやましく思いながら、買ってきた缶チューハイをプシュっと開ける。明日も仕事だ。

 この連載では、エピソードの元になる共働き生活(料理、買物、外出)についてお話を聞かせていただける共働き家族を募集しています。

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