急増する訪日外国人(インバウンド)をどう取り込むかは、これからの日本にとって大きな課題だ。(株)USPジャパン 代表取締役社長、一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会の代表理事・事務局長を勤める新津研一氏に、インバウンドの現状や各国ごとのトレンド、これからのインバウンド対応で必要なことを聞いた。

年別の訪日観光客者数。

 

日本のインバウンド市場は2013年から急激に増え、2018年は3300万人に及ぶと予測され、東京でオリンピック・パラリンピックが開催される2020年には、4000万人を大きく超えることが期待される。

 

インバウンドの消費に関して、「購買力は国内居住者の510倍と旺盛で、2017年の消費額は44161億円、2018年は5兆円に達する見込みです。そして注目すべきは、その消費の6割が買物と飲食だということです」と新津氏は話す。つまり2018年は、インバウンドの消費額が5000億円増え、その6割に当たる3000億円が買物と飲食に使われるということになる。

 

各国からの訪日客の人数だけでなく質の変化にも着目を

 

2017年に来日した、インバウンドの人数を国別にみると、中国736万人、韓国714万人、台湾456万人、香港223万人、アメリカ137万人で、これにタイの99万人が続く。「中国は、ビザ緩和の影響で急増。韓国、台湾も順調に伸びているが、香港は頭打ちの感がある」と話す新津氏は、人数だけでなく、人口に対する訪日者の割合に注目する必要があるという。

 

 実際に、香港は人口が約700万人で3人に1人が日本に来ている計算になり、10回以上訪日しているリピーターも多いため、伸びが鈍化している。台湾は人口の20%、韓国は同14%が訪日しているが。中国は、わずか人口の0.6%しか日本に来ていない。

 

 訪日外国人の4分の1を占め、買物消費では40%と圧倒的購買力を持つ中国だが、実は国民の約99.4%が、まだ日本に来たことがないのだ。

「こうした状況を把握していないと、インバウンド市場の変化を勘違いしてしまうことになる」と新津氏は警告する。

 

国別のグラフ。左から、中国、韓国、台湾、香港、アメリカ、タイ、オーストラリア。

  中国はリピーターも多いが、同時に新規客も多く、リピーターと初めて日本に来た人では、欲しい商品や体験したいことが異なる。以前は日本で買っていた商品が、国内や香港で買えるようになったため、旅行の目的が爆買いだけではなくなった。また、新津氏は、「中国からの訪日ゲストは、異次元のスピードと規模で変化している」。

 

「例えば、中国人女性は、3年前は銀座のデパートでスキンケア商品を購入し、その次にはメイクアップ用品を購入して、キレイになった私をSNSで発信していたが、今は、カフェやアートイベントに行くなど、ライフスタイルを重視した行動に移っている。決済はキャシュレス化が進み、リテールテックの進化も目覚ましい」と。

 

 順調に訪日客が伸びている韓国や台湾は、LCCの影響が大きい。特に韓国は、LCC

を利用すれば数千円で日本に来られ、関西国際空港では100分間で韓国からの便が13便という時間帯もあり、日帰りでの買物客も少なくない。

 

全体の滞在日数に関しては、日本での平均滞在日数は10日を超えている。欧米からの訪日客は、人数は少ないが長期滞在型が多く、こうした人たちは、購買より体験重視で消費の内容や質が、短期滞在の多いアジア圏から旅行者とは異なることも認識しておきたい。