現在、小売業は日常生活のインフラであり、ライフラインとして定着している。日常生活のために日々利用する店舗、特別の目的を果たすために利用する店舗、と小売業が店舗を通じて果たす役割はさまざま。その店舗の機能を「業態」と呼ぶ。かつて、「対面販売」から「セルフサービス」へと販売方法が変わり、「業種店」から「総合店」へと品揃えが変わったように消費者の立場から「業態」が生まれてきた。

 各業態とも多店舗化が進むにつれ、同業態でのオーバーストアを迎えている。さらに同業態での競争だけでなく、異なる業態との競争も生まれている。総合スーパーの場合、衣料品がユニクロ、しまむらに、住居関連品がニトリに奪われたように、商品分野ごとに異なった競争相手と対している。スーパーマーケットでは食品売場を擁したドラッグストアが競争相手となっている。

 一方、消費者が成熟し、店舗の使い分けが進むことで、「業態」の多様化、細分化も進んでいる。さらにこれらの業態を覆うようにネット販売が急速拡大中。

 特に6月に米国では、アマゾンによるホールフーズ・マーケットの買収が行われ、生鮮食品を扱うスーパーマーケットにとってもネット勢力の影響を回避できないことを示した。同業態、異業態、そして新たに生まれる業態等、店舗を形付ける「業態」は常に変わり続け、生まれ続けている。

 以下に現在の代表的な業態について解説した。

 *特に記載なき場合、店舗数は平成26年版商業統計より
 *各業態記載の「主な企業」は上場企業の売上順(2016年度決算より)

百貨店(195店舗):日本の1号店は1904年の三越

 大都市の中心部に立地し、業種を総合的に集めた売場構成、返品・交換自由などの販売方法を近代小売業の基礎となった。1852年、フランスのブシコー夫妻による「ル・ボン・マルシェ」開店が世界最初の百貨店とされる。日本では1904年創業の三越が1号店。ちなみに三越の発祥である「越後屋」は「店前現金売り」「現金掛け値なし」等、現在の商売の起源でもある。

「百貨店」は欧米各国に存在する業態であるが、立地、商品構成は各国で異なる。米国ではシアーズ、メイシーズが有名。郊外の大型ショッピングセンターの核店舗の一つとして出店、衣料品、住居関連品が中心の品揃えとなっている。

 日本の場合、戦後の物不足と高度成長に支えられ、中心市街地に多層階構成の店舗を出店、高収益を上げてきた。また私鉄各社も乗降者および沿線住民に対しての事業拡大を目的に駅ビル型の百貨店を開設させた。

 多くの百貨店では地下食品売場を集客装置として位置付け、「デパ地下」と呼ばれる日本特有の“フォーマット”を生み出した。

 日本では1990年代に入り、バブル崩壊と共に売上高は減少に転じた。また百貨店各社の再編も進み、以下の上位企業の名称と傘下店名に、その跡が見られる。

主な企業

J.フロント リテイリング(大丸、松坂屋、パルコ)1兆949億円
そごう・西武 7479億円
髙島屋 6913億円
三越伊勢丹ホールディングス(伊勢丹、三越、丸井今井)6601億円