カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案は国会の会期が延長され、会期末までに成立する公算が強まった。この法案での国民の最大の懸念はギャンブル依存症についてだが、他にも懸念材料もあるので合わせて書いてみたい。

「排除プログラム」は参考になる

 日本人は基本的に賭け事が好きな国民性といっていいだろう。競馬は欧米でも盛んだが、競輪、オートレース、ボートレースという公営のギャンブルがある。地下カジノ、麻雀、花札、トランプ、サイコロあたりで、裏でひっそりと賭け事をしている日本人は少なからずいるはずだ。極め付きはパチンコで、遊技として定義されているが、これは日本ならでは。オーストラリアのゲーム機械協会によるとギャンブル用ゲーム機の設置台数は、パチンコもギャンブルゲーム機と位置付けられているため、日本は458万台と2位のアメリカに5倍強の差をつけ、ぶっちぎりで世界一だ。

「多種多彩」で「数」もある日本に、さらにカジノができるということは、裾野が広がっただけなので100%、依存症患者が増えると断言していいだろう。分母が大きくなったのに、ギャンブル依存症が減るというのはまず考えられない。

 ちなみに、厚生労働省などのデータをみると、依存症が疑われる人の割合は、欧米諸国は1%前後で、マカオは社会工作局によると2007年に6%だったが2016年は2.5%にまで減少した。一方の日本は厚生労働省が2017年9月に発表したデータでは3.6%とまだカジノの建設が始まっていないにもかかわらずマカオよりも高い。

 マカオはギャンブル依存が増えて社会の関心事になったことから、マカオ政府は依存症専門のカウンセラー育成のための講座を2014年から開設したり、青少年への啓蒙講座を積極的に開催したりしたことが効果を上げた。さらにカジノ従業員の業務時間以外での入場を禁止するという法改正案も立ち上がっている。

 抜群の効果を上げているのがシンガポールで依存症の割合は2005年は4.1%だったが2017年は0.9%にまで下がった。例えば、スロットマシンの液晶画面に「責任を持って遊びましょう」にという警告が出る。他に、国家賭博問題対策協議会(NCPG)を立ち上げてホットラインを設置した他、ギャンブルのネガティブな点の情報を積極的に発信している。

 注目すべきは「自己排除」「家族排除」「第3者排除」という3つのプログラムだ。これはアメリカを参考にシンガポールも導入したものでオンラインや書面で申し込むのだが、「自己排除」でいえば、「自分はギャンブル依存症になりやすいだろうから排除リストに登録しよう」というもので、登録すればカジノ入場できなくなるという制度だ。「家族排除」は「うちの子供をカジノに入れたくない」とか「うち家族が依存症でいろいろと困っているから……」として登録させることができる。最後の「第3者排除」は行政サイドが自己破産者や生活補助を受けている人を対象にカジノへの入場を禁止するもので、これは行政サイドが自動的に排除プログラムに登録している。日本も導入する方針のようだが、詳細がどのようになるのかは注目だ。