イラスト/永谷せん

ヒトの心は不思議がいっぱい。それを探るのが心理学。心理学は実践の科学です。実際に使えば理解も早いし応用も利くようになります。ご紹介する心理テクニックは現場で役立つことばかり。ぜひ使って販売力をUPさせましょう。

 ベッドに入って推理小説を読み始めたら、先が気になって途中でやめられず、とうとう最後まで読み切ってしまったという経験はないでしょうか。

 また、連続ドラマを見始めたら、続きが気になって次回が待ち遠しくてたまらなってしまったことは?

 実はこれ、人の心理の特性で多くの人がそうした気持ちになってしまうものなのです。というのも、人は「完結したものより、未完成のものに興味を引かれやすい」からです。

 それを心理学では、『ツァイガルニク効果』と呼んでいます。

 ジグソーパズルを始めたら、最後のワンピースをはめ込むまでやめられなくなってしまうのも、恋人から来たメールに「続きは今度会ったときにね」と書かれているとデートの日が待ち遠しくて待ち遠しくて仕方がなくなってしまうのも、このツァイガルニク効果が働いてしまうため。

 そうそう、急逝したタレント(たとえばマイケル・ジャクソン)が私たちの心の中で忘れられない存在、カリスマ的存在になってしまうのも、この効果が多分に寄与しているものと思われます。

 私たちは、どうもこうした未完了のものに心を奪われやすい性質を持っているようなのです。

 ちなみに、ツァイガルニクとはこの心理を研究したロシア人心理学者の名前です。

 そこで今回は、こうした人の心の特性、ツァイガルニク効果を上手に生かしたマーケティングの手法をご紹介したいと思います。

 人の興味や関心、イマジネーションや好奇心をそそる効果的な手法としてツァイガルニク効果はさまざまな場面で手を替え品を替えて利用されています。

 例えば、貯めると特典のあるポイントカードもこの効果を期待してのもの。未完了の間はポイントを貯め続けたくなってしまうからです。結果、お客さまは優良リピーターになってくれるのです。

 その効果をより高めたいのであれば、磁気カードよりもハンコを押していくタイプのアナログなカードの方が有効かもしれません。というのも、ポイントが増えていくのが一目ですぐに確認できるからです。

 また、伏せ字やイニシャルだけの情報って気になりますよね。実はそれもツァイガルニク効果が働くから。

 そこでそれを利用して、店先にこんな貼り紙をしてみてはいかがでしょう。

「本日の特売商品はYとK♪あと●●(これは秘密)」

 わざと情報を曖昧にすることで、「えっ、何だろう」と、お客さまの興味を最大限に膨らませてしまうのです。情報を全て開示するだけが能ではないということ。覚えていて損はありませんよ。