イラスト/永谷せん

ヒトの心は不思議がいっぱい。それを探るのが心理学。心理学は実践の科学です。実際に使えば理解も早いし応用も利くようになります。ご紹介する心理テクニックは現場で役立つことばかり。ぜひ使って販売力をUPさせましょう。

「うーん、まずい。もう一杯!」

 かつて話題になったテレビCMのキャッチコピーなので思い出す方も多いのではないでしょうか。

 このCMを初めて見た人は、自社の飲み物を宣伝するのに「まずい」だなんて。しかも「まずい」のに「もう一杯」飲みたくなるとはどういうことだろう、と頭の中が“?”マークでいっぱいになったはずです。そして、その商品に少なからず興味を持ったことでしょう。

 実際、CMのおかげでこの商品の売上げは格段に伸びたのだそうです。

 このように、相手の気持ちの中に「おやっ?」と思わせる言葉や問いかけをすることで、相手の関心を引くことを心理学では『ピーク・テクニック』と呼んでいます。ピーク(pique)とは「興味をそそる」という意味です。

 今年の6月、トランプ大統領が金委員長と会談する前に、「平和協定の締結に対して真剣かどうかは最初の1分で分かる」と豪語したのも、「たった1分で?」とマスコミの興味をそそる狙いがあったものと思われます。

 この心理効果は、アメリカのサントスという心理学者も街頭実験で証明しています。

 道行く人に「お金を貸してください」と頼んでも、ほとんどの人に無視されたのに、「17セント貸してもらえませんか」と頼んだ場合は、半数近くの人が貸してくれたのです。貸した人は、17セントという半端な金額を欲しがるのはきっと何か意味があるのだろうと考えたのでしょう。

 マーケティングや広告関連の書籍に必ず登場する理論の一つに『AIDMAの法則』というのがあります。広告(CM)が認知されて、消費者が購買行動を起こすまでのプロセスを説明した有名なセオリーですが、その第一番目の「A」はAtention(注意)の「A」。何かを宣伝するためには、消費者に「ん、何だコレは?」と注意や興味を喚起する必要があるというのです。

 その役目を果たしてくれる一例が、「うーん、まずい。もう一杯」といった『ピーク・テクニック』を活用したキャッチコピーというわけです。

 このテクニックは、お客さまとの会話の中でも大いに活用 できます。

 例えば、お客さまに頼まれて在庫確認に行かねばならないとき、「少々お待ちください」と言う代わりにこう言ってみてはいかがてしょう。

「15秒お待ちいただけますか」

 そして、在庫確認にダッシュするのです。

 お客さまはきっと、「ん、15秒?」と興味を持ってくださるでしょうし、15秒で戻れる戻れないに関わらず、その言葉を発したショップスタッフの熱意に好感を持ってくれるはずですから。

 あなたも、あなたオリジナルの『ピーク・テクニック』を考案して、お客さまのハートをガッチリつかんでみませんか。