厚生労働省のデータによれば、平成26年時点で専業主婦世帯は687万世帯、1114万世帯が共働き世帯と発表されています。数値は昭和55年時点とほぼ逆転、女性の社会進出や雇用形態の変化、少子高齢化など複合的な要因で、共働き世帯の割合は今後も増加していくと推察されます。

 この連載では実際に共働きしている家族を料理・買物・生活という切り口で取り上げ、どんな日常を送っているのかショートエピソード形式で毎週お届けします。

ディンクス理系男子・学の目線

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 学生時代に一人暮らし経験はあった。とはいえ、いつも飲み会や残業で帰りが遅かった僕はオール外食、自宅にフライパンも持っていなかった。

 だが、妻の妊娠でつわりが始まり、代わりにキッチンに立つ日が増えた。

 仕事を早めに切り上げ、帰りに食べられそうなものを聞く。つわりのときは匂いに敏感になり、その瞬間の気分によって食べたいものが変わるそうだ。男の僕には想像できないが。

「マッシュポテトかな」

 なるほど、ジャガイモだな。スーパーに寄ってジャガイモと自分用の出来合い弁当を手早く買い、妻の気が変わらないうちに急いで帰る。

―――

「あれ、買ってきちゃったの? 家にジャガイモがあったからリクエストしたのに」

 帰宅すると、気持ち悪くてベッドに寝ていた妻の真奈から鋭い指摘が入る。

「ほら、そこの棚に袋が入ってるでしょ? その袋に野菜を入れておくと、ちょっと長持ちするんだよ」

 茶色い袋を開くと、まだ使用していないジャガイモが顔を出した。どうやら、ダブりで買ってきてしまったようだ。

(そんなとこ、見えないし。そもそもある場所も知らないし)と内心、少しムッとする。せめて買ってきたお礼を言ってくれたらいいのに、とも思う。

 ……とはいえ、わが家のジャガイモストックが増えたことになる。

「ごめん、気付かなかった。できるまで寝てていいよ」

 身重な妻とお腹の中にいる子供を思いやり、心の声をぶつけるのをグッとこらえて料理に取り掛かる。経験がないので、僕の手料理はいつも一品料理だ。

 早速作り方を検索すると、出てきたレシピにあった「塩少々」という表記につまずく。

 小さじ1杯なら分かるが、少々、とはどれくらいなのか。スマホを使うためにいったん皮むきで汚れた手を洗って、改めてグーグル先生に「少々 どれくらい」と検索をかける。感覚的な表現は難しい。

 レンチンした後で余熱を取って、牛乳を足して……できたぞ、マッシュポテト。食欲がなくても、冷たく冷やせば食べやすいそうだ。

「ありがとう。学くんの料理は、レシピ通りだから間違いがないね」

 そう笑う妻の真奈の顔が見たくて、僕は苦手な料理をするのかもしれない。

 

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