ゴルフトーナメントの中継放送で、マネジメントという言葉が数多く出てきます。経営でいうマネジメントとゴルフでいうマネジメントには違うところもありますが、いい機会ですので、ゴルフでマネジメントを考察してみました。

 マネジメントの始祖P.F.ドラッカーはマネジメントを『問題』を考えることだと言い切っています。その思想に基づいて、ビジネスにおけるマネジメントを定義すると『目標達成にあたり、その実現を阻害する重点問題を明確化。その問題を解決する計画、行動をとること』となります。ゴルフはミスのスポーツといわれています。『ミス=問題』と捉えれば、ゴルフでも経営のマネジメントを学べると思いました。

マネジメント対象は「技術」「身体」「意識」「コース」 

 マネジメントの世界ではその対象を分析することから始めます。分析とは『分けて考えること』、物事をゴッチャに考えるとよい答えが出ないからです。ゴルフではマネジメント対象を「技術」「身体」「意識」「コース」の4つに分けて考えると答えが出やすくなるはずです。

 なぜなら、それぞれマネジメントを発揮するタイミング、場所が違うからです。

 これら『問題=ミス』の記録がマネジメントの出発点となります。池田勇太プロもテレビで言っていました。『ラウンド記録は全て詳細に記録する』と。

 P.F.ドラッカーの言葉を借りるとゴルフにおけるマネジメントとは『目標スコア達成のため、そのスコア実現を阻害する技術上のミス、身体上のミス、意識上のミス、コース攻略上のミスを明確化。それらミスから重点を絞り、ミスを再度発生させない計画、行動をとること』ということができます。

 ゴルフのプロの世界では、マネジメントの対象はコース攻略のみになっているようですが、アマとしては、ゴルフに関わる全てを対象にした方が、メリットが大きいと考えました。

 アマは毎日ゴルフをできないし、コースに出る回数は圧倒的に少ないため、多種多用のミスが出てしまいます、その交通整理をしないとスキル向上は難しいと思ったからです。

経営の観点から見た「ゴルフのマネジメントのポイント」

①ミスの見える化

 ミスの記録は具体的であればあるほど価値があると思った方がよいでしょう。それはミスの原因分析がしやすいからです。ミスは頭の中の記憶ではなく、スコアカードに文字として記録することをお薦めします。ただし、プレイ中はプレイに集中したいので、キーワードをメモします。例えば技術面では立ち方、バックスイング、フォロースイングのミス等、身体面では体力、筋力、稼働域、意識面では「ミスを引きずった」「考え過ぎた」「集中できない」等ネガティブな気持ち、コース攻略ではコース/ライの状況から打ち方、クラブ選択のミス等キーワードをメモします。

 実はミスをミスとしてしっかり認識することがとっても大事で、ほとんどのアマはミスをミスと認識できていないから、同じミスを繰り返すのです。

 ちなみにミス記録を取るときは自分のスコアのみ記入し、同伴者のスコア記録は割愛することを同伴者にも伝えましょう。

②ミスの重点化

 ゴルフコースに出た後、「このミスの原因は、あのミスの原因は」と反省していくと、やるべきことはすぐに満載となります。経営現場も同じです。真面目な企業は問題の原因分析をし、やるべきことを「これでもか」と出してきます。

 それらは全てよいことです。でも、本当にできるのでしょうか?

 経営現場もゴルフも起きたミス全てについて、解消策を打つことは不可能です。全てのやるべきことに手を出せば、虻蜂取らずで、改善は望めません。 

 そこで、起きたミスから重点となるもの1つに絞ることが必要になります。絞るためには、スコアへの影響度の大きさ、実現のしやすさの2つ視点で分析します。影響度ではダブルボギー/トリプルボギーが最初に出たホールのミスから候補を選び、実施のしやすさでは自分一人でできるものから候補を選択します。

 重点化で大事なことは、1つに絞ることです。欲張って2つ、3つにしてはいけません。アマは1つしかできません。

 また重点化されたミスは必ずいろんな要素に影響を与えるもので、周辺の要素もよくなるものです。そして、取り組んだものが定着したら、また起きたミスから重点となるものを1つ増やします。その繰り返しが大事です。

③解決策の遡及(そきゅう)化

 解決策には是正処置(その場での応急処置)と遡及処置(再発を予防する処置)の2種類あります。例えば、突如起きるどスライスがダブルボギーの原因だったとします。そのときの是正処置は常に立つ向きをフェアウエイの左側にすることです。しかし、これでは突如のスライスの根本的原因を解消していません。 

 このときの遡及処置は肩の向き、グリップの高さ、ボールの位置等のアドレス、始動時の腰の動きやヘッドの動き、そしてコースの見え方、スコア状況等をチェックし、突如起きるスライスの根本原因を探すことになります。解決策は再発予防となる根本的なものになるはずです。