イラスト/永谷せん

ヒトの心は不思議がいっぱい。それを探るのが心理学。心理学は実践の科学です。実際に使えば理解も早いし応用も利くようになります。ご紹介する心理テクニックは現場で役立つことばかり。ぜひ使って販売力をUPさせましょう。

 今回取り上げる『ピーク・エンドの法則』というのは、あらゆる経験の記憶はピーク時と終了時のインパクトの度合いで決まる、という法則。

 経済学と認知心理学を融合させた行動経済学の先駆者の一人で、ノーベル賞受賞者でもあるダニエル・カーネマンが提唱しているものです。

  ノーベル賞学者が唱えた理論というと、何だか難しそうですよね。でも、その中身を知れば「なるほどね」と納得してもらえると思います。

  例えば、面白かった映画を思い出してみてください。その映画には、きっと中にすごい見せ場のシーンがあったはず。そしてきっと印象的な終わり方をしていたはずです。

  そういう映画の方が、質はいいけれど全体を通してみるとそれほどインパクトのなかった映画より、ずっと記憶に残りやすいからです。

  デートにしてもそうです。恋人と、同じようにドライブをしても、何事もなく終わってしまうとあまり記憶には残りません。それより、途中でちょっとヒヤッとしたことがあったり、別れ際に特別なこと、例えばファーストキスを体験してしまったりすると、素敵な経験として記憶に深く刻まれてしまうもの。

 つまり、ピーク時と終了時に、何かインパクトの強い出来事があればあるほど、記憶に残りやすいということ。それが『ピーク・エンドの法則』です。

 この法則は、ショップでお客さまをもてなす際にも活用できます。

  つまり、最初から最後まで丁寧にもてなすことは必ずしもお客さまにとってうれしい体験ではないということです。

 もし、喜んでもらいたいのなら、どこかで強いインパクトを与え、そして送り出すときにお客さまが喜ぶ何か印象的なことをするのがポイント。そうすれば、『ピーク・エンドの効果』が働いて、きっとお客さまはあなたのお店の大ファンになってくれるはずですから。

  インパクトの与え方はケースバイケースですが、例えば“ワケあり”であることを伝えることで、その商品の価値が実は価格以上であることを強調してもいいでしょうし、「こちらは30%引きなんですけど、お客さまだけ、私の判断で33%引きにしちゃいますので」。

 そう切り出すのも意外に効果的。キリのいい数字より端数のある数字の方が印象に残るのです。それを『ピーク・テクニック』といいます。

 あまりインパクトが与えられなかった場合は、余計に最後の心配りが重要になります。

 会計の際に小さなプレゼントを用意するのもいいでしょうし、スタッフ全員でお見送りをするのもいいかもしれません。受ける側の身になって、どんなことをしてもらったらうれしいかを考えてみましょう。

 ことわざにもありますよね、“終わりよければすべてよし” って。