「スパゲティ マリアーノ」の外観。

 株式会社サイゼリヤの新業態「スパゲッティ マリアーノ」が立て続けにオープンしている。マリアーノはファストフード型のパスタ専門店。

 7月上旬にリニューアルオープン予定の茅場町店を含み、既に5店舗を展開。特に2017年7月の3号店(末広町店)、今年3月、4月にもそれぞれ1店舗をオープンさせるなど急展開の出店を進める。先の茅場町店はマリアーノ1号店として2012年にオープンしたもの。当時からパスタ、ドリンクメニュー中心に構成されたファストフード型の店舗であったが、店内の雰囲気もサイゼリヤの縮小版であった。その後2016年にリニューアル、パスタメニューのバリエーションを増やし、店内もカフェスタイルのテーブル配置を取り入れ、女性客も入りやすいレイアウトになった。今回、2度目のリニューアルとなる。

 サイゼリヤはカジュアルイタリアンのコンセプトで国内1079店(2018年5月時点)を展開する。マクドナルドやすき家などのカウンターサービス主体のファストフードチェーンでは2000店舗を超える例もあるが、テーブルサービス形式の場合、単一のブランドでの店舗数ではガスト(1366店舗*2018年4月時点)に次ぐ。とはいえ、出退店による差し引きがあるにせよ3年前(1025店舗*2015年8月末)から50店強の純増にとどまる。

 現状、サイゼリヤの売上高は2017年8月期で1483億円(海外311億円含む)、営業利益112億円(対売上比7.6%)。3期連続で増収増益となっており堅調だ。既存店伸び率は前期では前年割れ月が一度もなく通期で102.6%。今期は月ごとの増減はあるものの5月末時点で99.4%を確保している。

 同社では出店の中心をショッピングセンター(SC)内に置き、一定の集客を確保しつつ、同時に駐車場コストの軽減を図ることでサイゼリヤ業態の収益性を維持している。その一方で、「サイゼリヤ」に続く今後の出店の柱と目されているのが、この「マリアーノ」なのである。

マリアーノが狙う「新マーケット」

 マリアーノでは店内に約30~60の席を有する。メニューはサラダ付きで500円(Wサイズで600円/ランチセット)。来店客は入り口の自動券売機で注文、その後、トレーを持って、カウンターに券を渡す。注文を受けた厨房では、センター納品されたパスタを湯煎、電磁調理器によりフライパンでパスタソースを絡めるだけ。店内でうたっているように1~2分での高速提供となっている。またコーヒーとのセットで250~290円のモーニングセットの提供も行う。オフィス街立地を生かしてランチだけでなく、モーニング需要の獲得も図っている。

 以上のマーケットはコンビニの主戦場でもある。コンビニにとって、パスタは弁当、おにぎりに続く主力メニュー。特にセブン-イレブンは3週間ごとに具材、製法などを改良した新メニューを投入しており、販売数の底上げを進めている。またモーニング需要は多くのファストフード、コーヒーショップチェーンでも取り入れており、さらにセブン‐イレブンでも「朝セブン」と称したコーヒーとパンを組み合わせた時間帯キャンペーンを定期的に行っており、強力な集客源となっている。

 このようにサイゼリヤが新たに取り込もうとする「オフィス街」「ランチ・モーニング」マーケットは激戦だが、主力商材がパスタであるだけに後退も許されない。ただし「マリアーノ」が持つメニュー、オペレーションなどのコンセプトは、「オフィス街」「ランチ」マーケットの獲得にとどまらず、SCをはじめとしたさまざまな商業集積におけるフードコート出店へと可能性も広がる。茅場町のリニューアルオープンはじめ、立て続けの出店にはその意図を感じる。