「LECT」で次世代を切り開けるか?

 イズミは九州に進出したことで大きく飛躍したが、地盤とする中国エリアでは、イオンやフジなどの進出や地元のSMチェーンとの競合で、むしろ守勢に回ることが多くなっていた。

 そうした状況の中で、昨年4月、広島市に新たな業態「LECT」(レクト)を開業した。 LECTはメインテーマである「Living」(リビング)、「Eating」(食)、「Culture」(知)、「Town」(街)、「Time」(時)の頭文字と選ぶ楽しさを表した「Select」(セレクト)から付けられた。自宅や学校、職場とは別の「第3の場所」(サードプレイス)を創出することで、足を運んでもらうことを目指している。

 カルチュア・コンビニエンス・クラブの「知」の「T-SITE」、「食」のイズミ最大の食品売場「youme食品館」、「住」のホームセンターの「カインズ」という知食住の3つのキーテナントを核に構成される大型商業施設だ。

 こうした取り組みから見えてくるのは、衣食住のGMSの片りんもなく、直営は食に特化し、それ以外はテナントに任せてそれぞれの得意分野で集客し相乗効果を図ろうという意図が明らかだ。

 ゆめタウンが推進力となり、脱GMSで高収益企業となったイズミ。新業態レクトで次代を切り開くことができるか、開業後1年余りが経過したが、そのもくろみの成否はまだ明らかではない。

セブン&アイとの提携で「オセロ」が起こる?

 そして今年になって新たな動きがあった。4月、イズミはセブン&アイ・ホールディングスと業務提携を結び、商品調達や店舗の共同運営などを進め、電子マネーやPBなども視野に入れ、連携していくことになった。まず、「イトーヨーカドー福山店」をイズミが経営を引き継ぐことなり、立て直しを図り、2019年にはイズミに譲渡される予定で、「ゆめタウン」として再出発する可能性が高い。その先にはどのような展開が待っているのだろうか。もしかして、オセロのようにイトーヨーカ堂がゆめタウンに変わるかもしれない。

義政が礎を築き、泰明がそれを発展させた

 創業者の義政はイズミの礎を築き、1993年社長に就任した山西泰明がそれを発展させ、優良企業に育て上げた。泰明はヤオハン創業者の和田良平の5男で、ヤオハンの経営に携わることを前提の修業のため、1977年イズミグループのポプラに入社。1978年、山西義政に見初められ、その次女と結婚し山西家の入婿となった。

2022年度にが営業収益1兆円を目指す

 イズミは昨年10月、2020年度に営業収益9000億円、営業利益率6%、2022年度には営業収益1兆円を目指す中期経営計画を発表した。そのために、既存店を強化し、SMとNSC(近隣型ショッピングセンター)を中心に3年間で40店舗の出店を計画し、M&Aにも積極的に関わっていく。

 中計には、『変革期こそチャンス、イズミのDNAは、「革新・挑戦・スピード」、 環境の変化に対応し、 成長と企業価値の向上を果たす』と明記されており、変革を目指してスピードを持って挑戦できるか、おそらく泰明は、これを達成して次代にバットタッチすると思われる。次の姿はまだ見えてこないが、時代の変わり目でどのような動きが出てくるのか、それはGMSでもなく、SCでもない、全く新しい取り組みかもしれない。