GMS(総合スーパー)の2017年度決算で本業の儲けを示す営業利益が一番多かったのはイズミの320億円(単体)。売上げトップのイオンリテールは118億円、2位のイトーヨーカ堂に至っては30億円、3位のユニーも179億円(日本基準)と遠く及ばない。営業収益対比の営業利益率もイオン0.5%、イトーヨーカ堂0.2%ともはや、現状ではGMSが収益モデルとなりえないことを示しているが、その中でイズミの営業利益率は4.7%と断トツに高い。GMS再生が問われている今、イズミは一人わが道を行っている。

ルーツは1946年の広島駅前の露店

 GMS最強といえるイズミの社名のルーツは、創業者の山西義政(現会長)が1961年設立したいづみ、1980年に商号変更して現在の社名になった。CI戦略の一環で、ひらがなからカタカナになった。

 山西は戦後間もない1946年、戦地から復員し、広島駅前の闇市で戸板一枚の露店で衣料品を販売。商売は順調で店舗を構えて繁盛するが、卸の方が手広く商いができると考え、小売りから卸に事業を転換、中国地方の衣料品の有力問屋になるまでになった。

 そして再び、転機が訪れる。1960年代を目前にして、米国生まれのスーパーが、東京や大阪などの大都市で展開され、ダイエー、西友ストアー(現西友)、ヨーカ堂(現イトーヨーカ堂)などがしのぎを削っていた。

 この状況を目の当たりにした山西は「これからはスーパーの時代だ。都会で流行っている地方でも必ず受ける」と考え、1961年、広島市の繁華街・八丁堀に1号店を出店した。時代の変わり目を的確に捉えて、今までの成功を躊躇なく捨てて、未知の領域への怖れを克服し、新たな事業に賭ける決断は大胆で思い切りがよい。

 1階が食料品、2階が衣料品という木造2階建ての小さな店舗だったが、広島初のスーパーということもあり、連日多くのお客が詰め掛けた。

2号店を大阪に出店も苦戦し、4カ月で閉店

 この成功に気をよくして2年後、大阪に2号店を設けるが、競争が厳しく、大阪人のニーズにマッチした品揃えもできなかったため、わずか4カ月で撤退する。出店するより退店の方が何倍も難しいが、ダメと決断したら即撤収で、ここでも山西の思い切りのよい決断力が発揮された。ずるずると営業を続けていたら今のイズミはなかったろう。

 その後は、広島を中心に中国地方で店舗を展開。1968年には大卒新入社員の大量採用を開始し人材を確保し出店を加速、ローカルチェーンとして地歩を固めていった。

モータリゼーションへの対応が早かった

 そして、イズミは1978年には大証2部、1986年東証2部、翌年には東証1部に上場するまでになった。ときはバブル絶頂期だったが、このときは時代の変化に乗ることはせず、山西はスーパー経営に専念。広島という地方に本拠を構えていたこともあり、巻き込まれずに済んだ。

 バブルが崩壊する兆しが見えた1990年、イズミはショッピングセンター(SC)形式の「ゆめタウン」を開発、岡山県高梁市に1号店を設けた。これに先立ち、1973年には初の郊外型SC「祇園店」をオープン、地方におけるモータリゼーションの対応は早かった。

 ゆめタウンが登場したころ、既にGMSはパワーダウン、競争力を失い、同業他社は再生を目指して改革に取り組み始めていたが、イズミはGMSに執着せず、SCとしてテナントを入れ、直営部分を減らし、デベロッパー事業を収益の一つの柱とした。

 事業構造の大転換となるものだが、それにしてもゆめタウンとはべたな名前である。おそらく、イズミが夢を叶えるためというより、お客が夢を見られる楽しい施設という意味で付けられたものであろう。

競合が厳しい九州で競争力を高めた

 ゆめタウンという武器を手に入れたことで、イズミの事業展開は大きく変わる。当初はよちよち歩きだったが、1995年、福岡県遠賀町に出店し九州進出を果たし、翌年には九州の旗艦店舗となる「ゆめタウン筑紫野」をオープンさせる。

 中国地方より格段に競合が厳しい九州で戦うことで、リーシングやマーチャンダイジング(MD)も磨かれ、競争力を高めつつ、地域一番店主義で店舗も大型化を進め、店舗に権限を委譲し、地域のニーズを対応する地域密着営業を徹底させた。2002年には経営破綻したニコニコ堂の大型店4店舗の営業を継承。進出10年で17店舗となり、九州はイズミの大きな収益源となった。

 なお、ニコニコ堂のスーパーマーケット(SM)を引き継ぐため、2003年、ゆうあいマートが設立され、2007年にはイズミの関連会社ゆめタウン熊本に吸収合併され、翌年、イズミは同社をエクセルとともに吸収合併した。

 エクセルは1990年に創業(2008年9月にイズミと合併し、今はイズミのエクセル事業部として運営)。ゆめタウンに出店するだけではなく、外部にも進出。現在、全国に40店舗を展開する国内最大級のイズミのインポートショップだ。ちなみにエクセルのアルファベット表記は「XSELL」で、Xはアルファベットの24番目の文字、SELLは売るという意味である。

ローカルSMチェーンを次々と傘下に

 イズミはその後、広栄、スーパー大栄といった九州のSM企業を傘下に収め、本拠地の広島でもユアーズ、徳島でデイリーマートを子会社化し、SM事業の拡充も図っている。

 一方で、山口の丸久と大分のマルミヤストアが、2015年、リテールパートナーズを設立、経営統合したことで両社と結んでいた資本業務提携を解消した。リテールパートナーズは昨年、福岡のマルキョウを完全子会社化し、九州・山口地区でイオン、イズミに対抗する第三の極としてローカルチェーンの連合体を目指そうとしている。