例えば、冒頭に私が体験した試着室の例なら、「ご試着〇人お待ちです」「今なら待たずに試着室をご案内できます」など、ベタですが試着室の使用状況を都度アナウンスするのも効果的だと思います。

 こうした声掛けはスタッフ間の情報共有にもなりますが、実はお客さまのためにもなります。店内をぐるりと見回って、よしこれを試着しよう!と思って声を掛けたら試着が5人待ち、なんてことがあると私はガックリきます。既に店内は見尽くしているので、ただ「試着を待つ」ことになるからです。

 でも試着室が混んでいることが事前のアナウンスで分かっていればどうでしょう? 試着したいアイテムが見つかった時点で声を掛け、順番を待つ間にゆっくり残りの商品を見るという選択肢が生まれます。同じ「待つ」時間は、簡単な声掛け一つで楽しみにも変えられるのです。

ハード(機械)よりソフト(人間)の方が待てない

 ネットで買物をすると、早ければ数時間で商品が自宅に着きます。でも実は一番早く商品が手に入るのは、決済直後に商品を持ち帰れるリアル店舗なのです。

 にも関わらず、ネットで買物を済ませてしまう人が増えているのはなぜでしょう。いろいろ理由はありますが、その一つは「購入まで時間がかかる」ことではないでしょうか?

 ネットなら欲しい商品を選び、注文ボタンを押してから届くまでの時間は自分で自由に使えます。人気店の長蛇の列も同様です。自主的に列に並ばないこともできるので、この場合並ぶか並ばないかはお客さま側に選択権があります。

 一方、リアル店舗ではセルフレジを除けば、購入時はスタッフに金銭授受やカード決済をしてもらう必要があります。店によっては商品をじっくり見たり、試す際にもスタッフに声を掛ける必要があります。

 リアル店舗はどうしてもお客さま本人が主体ではなく、相手=スタッフに委ねる点が出てきます。だから、店が商品を販売すると同時に気持ち良く買物を終えられるようにできなければ、お客さまはむしろガッカリしてしまうのです。スタッフが原因で「待つ」ことは、お客さま側ではどうすることもできないため、より待たされている感が増すのだと思います。

 この待機時間をなくすために、企業はさまざまな工夫をしています。ディズニーランドはアトラクションに乗るまでの間にキャラクターエピソードや多彩な装飾を楽しむことができますし、飲食店では店内やテーブル上にて店名の由来や生産地の紹介などを掲示しています。

 でも実は機械のハード的問題で待つよりも、スタッフのソフト側の問題で待たされる方が、実感として私たちは待てない気がします。

 急いでいるときでも、クレジットカードが認証されるまでの待ち時間は仕方ないかなと思えますが、カードが認証されるまでの間に商品を用意せずボーっとスタッフが立っていたら、「早く購入商品をまとめて!」「レシートにサインをする準備をして!」と思うのではないでしょうか。