その前の入店直後のやり取りです。お客さまの入店後にスタッフが空いていたカウンター席を案内しました。ところが席が汚れていたようで、お客さまが小さな声で「すみません、汚れているんですけど」と声を掛けました。

 声を掛けられたスタッフは何も言わずにテーブルを拭き終えてカウンターの奥へ戻ったのですが、お客さまは座らず、その場に少しの間、立ち尽くしていました。チラリとイスを見ていたので、恐らくイスか、イスの下も汚れていたのだと思います。「まだ座れない」という無言のアピールだったのでしょう。

 ところがスタッフは、その立った状態のお客さまの横をスルーして、別のテーブルに座っていたグループ客に料理を提供しに行きました。テーブル席4つ、カウンター席6つ程度の小さなお店です。そのスタッフの行為を見て、女性のお客さまは店を出ていったのでした。

 そもそもお客さまが帰った後にきちんとテーブルの片付けをしていないなど、いろいろツッコミどころもありますが、私は「何も言わないんだ!」と内心驚きました。

 確かにそのお客さまの立場に立ってみれば、怒るにも勇気やエネルギーがいり、狭い店内で意見を言えば面倒くさい客・クレーマー扱いされるというリスクもあります。彼女も、もう一度「ここも汚れているので、拭いてくれますか?」と声を掛けることだってできたはずです。でも、そうしなかったのは「もういいや、他の店に行こう」と瞬時に判断したからでしょう。

 その日、この店にいたスタッフは、フードを作る1人、できたフードを提供するホール1人の計2人でした。リアル店舗は少子高齢化でアルバイトの採用も難しくなっており、最小限の人員で店を回しています。自分たちでも気付かないうちに至らない面がどうしても出てくるでしょう。

 反面、ネット通販はどんどん改善してサービスを強化しています。もちろん環境の違いはありますが、リアル店舗は自分たちでその差を広げてしまっているのではないでしょうか?

店都合の「ムダ待ち」を減らす

 リアル店舗でお客さまを「待たせる」ということは、インターネットでいう「ページの読み込み中」の状態です。いつ終わるか分からないという点もそっくりです。

 調べものをするなら、できるだけ早い速度で、サクサク検索したいですよね? お客さまも同じです。ページを読み込む時間よりもサイトの内容を吟味することに時間をかけたいように、お客さまはスタッフの手間を待つのではなく何の商品を買うか迷い、楽しむことに集中したいのです。

 とはいっても、焦ってミスをしては意味がありません。待たせないようにとスピードに気を配るよりは、お客さまのムダ待ちが発生しないルールを作るべきだと感じます。