東日本大震災による津波で大きな被害を受けた福島県いわき市 小名浜地区の臨海部。小名浜港の近くには、観光物産センター「いわき・ら・ら・ミュウ」、環境水族館「アクアマリンふくしま」、グルメ、ランチ、ショッピングの「小名浜美食ホテル」などからなる「アクアマリンパーク」が広がり、観光拠点となっていたが、それらの施設も損傷し、復旧後も観光客が減少、7年経った今でも震災前の賑わいには戻っていない。

 そこで、いわき市は「小名浜港背後地震災復興土地区画整理事業」により、新たな街づくりを進めているが、6月15日、区画内の都市センターゾーンに、いわき市が復興のシンボルとして掲げる「イオンモールいわき小名浜」が開業した。

6月12日から14日のプレオープンには8万5000人が訪れ、6月15日のグランドオープンには雨の中、3400人が開店を待った。オープニングの式典には、いわき市内のある「スパリゾートハワイアンズ」の人たちによるフラダンスが披露され、テープカットにはいわき市長や福島県の副知事も参加と、地域の期待も大きい。

津波被害に備え、災害時でも施設機能を維持

 震災の経験から、地域を守る『防災モール』として、万一、地震などによる災害が発生したときには、店内通路や屋上などを開放、一時的に避難者を受け入れる機能を持たせた。津波の被害にも備え、1階をピロティ構造にして駐車場とし、電源などの設備を想定最大津波以上の高さに設置、災害時でも施設機能を維持、地域の復興拠点としての役割も担う。

 こうした取り組みはコスト増となるが、イオンモールではCSR(企業の社会的責任)として捉え、地域の人たちの安心・安全の拠点として位置付けている。東日本大震災では、スーパーマーケットやホームセンターなど小売店が生活インフラとして欠かせないことが改めて証明されたが、同時に商業施設が避難場所としても機能することの重要性が認識され、今回のような先進的な防災モールの誕生につながった。

災害時の一時避難場所となる屋上駐車場には電源などの設備も備えている。店内には津波時に屋上へ避難するサインが館内に表示。津波を想定しピロティ構造にした1階部分は、駐車場スペースになっている。

 一方で、アクアマリンパークとは2階部分で、ペデストリアンデッキで結ばれて行き来できるようにし、相互の送客を行う。観光地と小名浜地区の市街地を結ぶ位置にあることから、観光客と地域住民の双方の需要に対応。地域に大型の商業施設がないことから、広域からの集客も見込んでいる。

アクアマリンふくしまなど近隣の施設をはじめ、いわき市や地域の団体、施設とも連携し地域を盛り上げていく。店内の大型サイネージでは地域の観光情報などを発信。オープン時にはいわきの未来へのメッセージを記入した貝殻を使ったモチーフ「マリンタワー」を展示し、点灯式を行った。いわき海星高校の生徒が加工した缶詰、磐城農業高校が加工したジャムなども販売した。いわき観光ナビゲーターの「フラおじさん」の人形も展示している。