清水寺など豊富な観光資源が日本のはたくさんある。

「日本のカジノは成功するか?」についての第3弾。カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案が6月15日、衆議院の内閣委員会を通過した。与党は同19日に衆議院本会議で通過させる方針だ。

日本は観光資源が豊富で優先順位が低い?

「特定複合観光施設区域整備法」と名付けられた法律。303ページにわたる法律だが、その概要を見てみると、

1、IR施設は上限3カ所

2、ライセンスの有効期間は3年(更新可能)

3、施設にカジノは1カ所(大きさは政令などで規定)

4、日本人の入場回数は連続する7日間で3回、連続する28日間で10回(身分証明を義務付け)

5、20歳未満は入場禁止

6、入場料は1回3000円

7、収益のうち15%を国庫納付金、15%を認定都道府県等納付金に納付​

8、状況によっては、7年後にIR施設の数の見直しを行う​
……などだ。

 具体的な流れは、『国がカジノ管理委員会を設置して、基本方針を策定し、その後に自治体を募る。自治体は事業者と区域の整備計画を作って国に申請して、国はIR推進本部(全閣僚で構成)の意見を踏まえつつ審査をして認定するかどうかを決める。そして、IR事業者からの免許申請も受けて、こちらも審査をして交付するかどうかを決める』となる。

 この状況の中でライセンスを受けた事業者はビジネスを進めていかなければならない。7年後に見直す可能性はあるといえ、現行ではカジノは最大で3カ所作られる。名前が挙がっている自治体は北海道の苫小牧市、釧路市、留寿都村、大阪市、愛知県常滑市、和歌山市、佐世保市だ。

マカオでは裕福層がカジノを支えている

 マカオでは外資にライセンスを開放した当初、IR施設の売上げはカジノ一辺倒といってもいい感じだった。また、隣に香港があったこともありマカオに宿泊しても1泊のみという観光客が多かったが、それでも圧倒的な観光客数と客単価の高さで売上げを伸ばしてきた。しかし、カジノが40カ所弱にもなり、明らかにバカラやポーカーなどのテーブルにお客がつかず、暇そうにしているディーラーが目に見えて増えた。

 それを防ぐ方法の1つとして宿泊者を増やす方向があり、その手法としてリゾート型へのシフトを進めていった。ホテルオークラ、バンヤンツリー、リッツカールトン、JWマリオットなどといった名だたるホテルがあるギャラクシー・マカオが施設内に世界最長の575mの流れるプールを作ったり、ショッピングモール内にシネマ・コンプレクスをオープンさせたりするのは、長期滞在型へのシフトや家族連れを意識したからだ。

 マカオのカジノディーラーが余っているように見える以上に大きな問題なのは、裕福層の減少だ。それがカジノから稼ぐのではなくリゾート型にシフトせざるを得ないもう1つの理由だ。もう少し詳しく説明すると、マカオはIR施設全体の収入におけるカジノ収入は約9割を占める。シンガポールは約8割、ラスベガスは4割だ。そして、マカオの場合、カジノ収入の5割以上を支えているのが裕福層なのだ。そのほとんどが中国からの裕福層である。これは筆者の感覚ではあるが、中国の裕福層というのは人口の関係から絶対数が多いだけではなく、日本のお金持ちよりもその資産は一桁多い印象がある。だからこそ、マカオのカジノがラスベガスを上回る売上げを出すことができた。

 その一方で、習近平国家主席が腐敗撲滅を名目に「ぜいたく禁止令」を出した。いかに政府関係者や民間人にお金持ちが多いのか……ということだが、彼らが減っただけでマカオのカジノの売上げはそれに連動して大幅に減った。そのリスクを減らすために、IRリゾート経営層は一定レベルで脱カジノ=一般層の取り込みに力を入れ始めた。