わが国におけるインバウンドは今日急増の一途にある。東日本大震災のあった2011年には621万人であったが、翌年には835万人となり、2017年は2869万人、東京オリンピックが開催される2020年は4000万人を越えることが予想されている。

世界共通に安心できる食べ物とは?

 インバウンドにとって最大の楽しみは日本食を体験することだ。4~5年前は中国人の「爆買い」に象徴されるようにインバウンドの目的はモノ消費のイメージがあったが、既にインバウンドのリピーターが訪れている今日はコト消費が主流となっている。それは居酒屋で食事をしたり、スーパーマーケットや市場で買物をしたり、料理教室を体験することも楽しみの一つとなっている。

 日本食はインバウンドにとって日本文化を堪能する上で十分なものだが、彼らにとって安心できる食べ物も必要ではないか。アメリカでは家庭料理を「コンフォートフード」(comfort=安楽な、快適な)と呼ぶが、一般的にはチキンスープやハンバーガーといった代表的な料理が挙げられるが、その中でもポテトはさまざまな食シーンで欠かせない。そこでインバウンドや在日外国人の食を満足させるためにはポテトを使用したメニューを充実させておくことが有効ではないかと考える。

「インバウンドが増加するに伴ってフライドポテトの需要が増えている」という実に興味深いリポートがある。

 それは、一般社団法人日本冷凍食品協会が今年3月に公表した「飲食店における外国人旅行客(旅行客)の影響度及び冷凍食品に関する調査」(「ぐるなび」加盟店16万2000店を対象)。これによると、インバウンドの増加によって冷凍食品の利用が増えた店では、枝豆、ポテトフライ、鶏の唐揚げなど、簡便、手軽で、急な対応に便利な商品の利用が増えている。利用が増えた理由については「ハラール認証の鶏肉、羊肉を取り扱うから」「簡易的なものでもおいしいものが増えたから」「揚げ物に興味がある外国人が多い」「フライドポテトの注文が増えたため」などの声があった(以上、一部『冷食タイムス』2018年4月3日付より)。

フライドポテトの出数が1.5倍に増えたメニュー

 筆者は外国人の利用の多い飲食店を2つ取材した。

 

 まず、東京・麹町にある「KOJIMACHI DINER」。同店はアメリカの大衆食堂である「ダイナー」をコンセプトに2010年7月にオープンした。店内40席、テラス12席の規模。客単価3000~4000円。ランチは1000円前後、グリーンカレーなどアジアンテイストのものを提供。ディナーはハンバーガーをはじめとしたアメリカ料理の品揃えを豊富にしている。

 オープン以来ほとんどのお客さまが注文するメニューはフレンチフライとのこと。2017年の春に「ローディッド・フライがアメリカで大流行」とうたったチラシと出会い、フレンチフライにさまざまなトッピングを加えたこのメニューにチャレンジした。

 同店の経営者である村松修子氏はこう語る。

「フライドポテトに手間暇をかけずにメニューのバラエティが広がるということから、いかにバリエーションを増やすかという発想でスタートしました」

 そこで、メニュー化したときに13種類を一斉にラインアップした。トッピングはさまざまな分野に及んでいるが新しく仕入れたものは何もない。ボリューム感のあるメニューに「ビーフパテステーキフライ」1000円(税別)があるが、このパテはハンバーガーのミートを使用している。

 

 シンプルなフライドポテトはS(約2人向け)400円、M(2~3人向け)600円、L(5~6人向け)1000円となっているが、ローディッド・フライに使用するフライドポテトの量は、Sサイズより少し多め。だから、荒利益額は増えることになる。

 「KOJIMACHI DINER」ではローディッド・フライを導入してからフライドポテトの出数が1.5倍程度増えたという。また、フライドポテトのみの当時は1グループで1品のオーダーであったが、ローディッド・フライは3~4品をオーダーするお客さまがいるという。

 同店のある麹町は欧米系の在日外国人が多い。店頭にこのメニューを貼ったところ、新規の外国人客が増えたのだそうだ。