第20回は「SNSとマーケティングの関係」についてです。

 皆さんは、普段の日常生活で「SNS」をどのように使っていますか。ご存知の通り、SNSは、「ソーシャルネットワーキングサービス」の略で、その代名詞として、「Facebook」「Line」「Twitter」「Instagram」「ブログ」「YouTube」などが挙げられます。

企業がSNSを活用する2つの目的

 このSNSを企業は自社のマーケティング活動でどのように活用しているのでしょうか。多くの企業では、SNSを次の2つの目的で活用するケースが多いかと思われます。

 1つは「PR目的」です。この場合、広報部が主体となり、企業HPやブログなど(一方通行的な自社メディア)ではなかなか伝え切れない自社に関する情報や商品・サービスについて、SNSという「ソーシャル性」の高いメディアを通じ、顧客と双方向でコミュニケーションを図ろうとします。

 もう1つは、「マーケティング(特に、ブランド構築、販売促進)目的」です。この場合、マーケティング関連部門(ブランド・マーケティング部、宣伝部、販売促進部、デジタル・マーケティング部等)は、新商品やサービスの発売期にその認知度や好意度、商品理解度を向上させるために、SNSの持つ「情報波及力」(WOM)を活用します。

PR、マーケティングを統合的に見る!

 企業のマーケターがSNSをマーケティング、PRの文脈で捉える際に注意すべき点は2つ。1つは、SNSはあくまでマーケティング戦略における一つの戦術であるという点。もう1つは、上で記したSNSの2つの目的(PR目的、マーケティング目的)を企業として統合的に見ること。そのためには、こうした視点でマネジメントする部署が必要となります。

SNSには実は2つのタイプがあります

 このSNSですが、大きく2タイプに分類できることを知っていますか?

 ①ソーシャルグラフと、②インタレストグラフです。

 ソーシャルグラフは、リアルでの人脈をネットに置き換えたものだと理解してください。その代表例はFacebookです。

 インタレストグラフは自身の興味・関心事についてSNS上に参加する人々が意見をくれたり、問題を解決してくれたりするサービスのこと。代表例はTwitter、ブログなどです。

 つまり、企業がマーケティング戦略でSNSを使う場合、この①と②の特性を踏まえて使いこなさないといけないわけです(SNSについてさらに詳しく知りたい方は、ソーシャルマーケティングで著名な首都大学 経済経営学部の水越康介准教授の最新本「ソーシャルメディア・マーケティング」(日経文庫)を読むことをぜひお薦めします)。

SNSも「価値共創の場」との認識を持とう!

 SNS活用で企業のマーケターが忘れてはいけないことは、他にもあります。

 それはSNSも顧客と企業が相互作用する「価値共創の場」であるという認識を持つこと。今日、企業がマーケティングを行う上で大切なことは、最終的に顧客経験価値を顧客自身が創造するという流れをしっかり把握しておくことなのです。

 そのために、常に顧客視点を持つことが求められます。さまざまなタッチポイント(店舗、ネット、スマホのアプリ、SNS等)を通じて顧客と価値を共創することが重要です。そして、購買後の消費プロセスを経て、最終的に顧客経験価値を醸成していくわけです。

 つまり、SNSは「スマホ時代の消費者の購買行動の流れ(=カスタマージャーニー)」の重要な一翼を担っており、実はオムニチャネル戦略とSNSは密接な関係を保っているのです。

態度的成果と行動的成果が顧客経験価値になる

 SNSを通じて企業が消費者と価値共創を行った結果、顧客満足やエンゲージメント(態度的成果)と、売上げ、収益、リピート率、LTV等(行動的成果)を実現できます。この2つの成果を総合したものが「顧客経験価値」となるのです。

 水越氏は、SNSの新たな活用方法についても著書の中で述べています。

 それは、「今日の消費者がネットを使い、企業に勝るとも劣らない貴重な情報(商品・サービスについて)を収集する力を持っており、自分のニーズや不満に応じ、既存の商品、サービスを改良する力を持っていること」。

 しかも、自身のニーズや不満を自らの改良行為で満たせない場合、能動的な消費者は、SNSのようなソーシャルな場を通じ、ニーズや不満を直接、企業に伝え、企業の商品・サービス企画に参画する「ユーザーイノベーション」に関わるようになっています。

 このユーザーイノベーションの代表例が良品計画の運営する「くらしの良品研究所」やASKULの「ロハコECラボ」での商品化です。