実はコンビニの万引きのほとんどが「内引き」

 そんな事情もあり、コンビニにおける万引きのほとんどは、内部による万引きが多いといわれている。

 大手チェーンで定説として引き継がれている内容としては、商品ロスの90%は内部、そしてそれは一部は検品ミスやレジのスキャン漏れなどもあるものの、ほとんどは商品を持ち帰ってしまったりする「内引き」といわれており、従業員による窃盗となる。

 揚げ過ぎたファストフードをつまみ食いしてまう、賞味期限の切れた廃棄商品を登録前に知り合いにあげたり、持って帰ってしまうなど軽い気持ちでの行為も、当然、内引きとなる。

廃棄商品を従業員に渡さないのも内引き対策

 コンビニの店舗で廃棄になるお弁当などの中食をアルバイトに配らないのは食品ロスの観点からはもったいないという考えも当然であるが、廃棄商品が持ち帰りOKとなると、店頭で販売する商品へとの区別意識が無くなり、内引きを誘引してしまう可能性が高いからという理由があるため、廃棄商品を従業員に還元しないコンビニがほとんどなのだ。

高額の商品ロスが発生して全従業員に聞き取り

 コンビニで高額の商品ロスが発生する店舗はごく一部に限られるが、筆者も約20年前の現役時代、直営店や店舗指導員として管轄する店でこうした状況が発生している場合があった。

 その場合は、状況の改善と実態調査のため、従業員全員を対象に、聞き取りを中心とした個別のロス面談を加盟店オーナーや店舗指導員が実施する。

 筆者のこの面談を実施した経験としてはすごくショックでダメージの残ることも多々あったりした。

 通常は、店舗ビデオなどを確認し、特定の人員に面談をするのだが、この面談はお店全体の課題解決を目的としているのと特定感を出さないために全員面談が基本となる。

 店舗運営のキーとなるリーダー格のベテランアルバイトや生真面目な学生バイトなどの想定外の人からの大胆な不正の告白があり、人間不振に陥った。

 今回、改めてチェーンの複数の現役店舗指導員に話を聞いてみると、20年前と変わらない状況が今も続いているようだった。

多いのが雑誌やたばこの売上げを懐に入れる犯罪

 高額の内引きが発生している店舗では悪質な手口での犯罪もあった。一番悪質なのはレジからお金を抜くというのがある。金銭誤差が発生し、すぐに露見するため、一般的ではないが、これは大手チェーンを中心に自動釣銭機が導入と電子決済の普及により激減していくだろう。

 その他、悪質な内引きで多いのが内税で消費税の計算をしなくていい雑誌やたばこの会計時などのレジ精算で、現金を受け取った後、レジの取消キーを押して精算を取り消し、お客さんから預かった売上金を懐に入れるという大胆な手口にも遭遇したことがある。

 僕が店舗運営に関わっていた20年前は固定の場所しか映さない2台のみの防犯カメラ設置が普通だったが、今は複数の場所を映し、レジへの撮影もかなりしっかりなされている場合も多いため、現在はこの悪質犯罪は減っているようだ。

たばこカートンの内引きはアナログ管理も一因

 また、コンビニの内引きで最も管理が必要となるのが、たばこのカートンとなる。コンビニにおけるたばこの販売構成比はチェーンにもよるが、25〜30%強。ただし、利益率が10.8%と低いため、1カートンを内引きされたときのダメージが店舗にとってはかなり大きい。

 店舗でたばこの在庫管理表をつけている場合もあるが、アナログ管理が多く、従業員自身が在庫管理表を自ら記載する場合があるのと、管理する品揃え数や在庫数も多いため、業務が煩雑になる側面を持っている。この点の解決がコンビニの内引きの最大の課題となっている。

大きな声のあいさつができるコンビニは商品ロスが少ない

 過去には、レジ内で売られていたテレホンカードやQUOカードなども内引き管理の対象として重要だったが、今はアマゾンやアップルのギフトカードの金券カードは店頭に陳列されているときは無価値で、レジでスキャンした後に、額面の価値が出るPOSAカードとなっており、アメリカで開発された仕組みにより万引き問題が解決された。

 今後、コンビニ業界では人手不足による業務の省力化が課題となっており、Amazon GOやローソンのスマホ決済などのようにレジを通さず、自分のカバンなどに商品を直接入れる決済に徐々にシフトしていく可能性もあり、行為としては万引きと見分けがつきづらい購買行動となっていきそうだ。

 これらの新決済、現状は発展途上ではあるが、スマホなどでのデジタルでの電子決済となるため、個人の行動が履歴などに残るなど、仕組みが進化して万引き行為を抑制する効果を生む予感がある。

 最後に経験談になるが(編集部注・万引きのではありません)、大きな声のあいさつができるコンビニは、圧倒的に万引きを含む商品ロスが少ない。大きな声のあいさつは犯罪を抑制する効果が確実にあると思う。

万引きは軽犯罪とはいえ、一生を棒に振る可能性も高い行為である。内引きも含め、今後 絶対に無くなって欲しいと思う。