6月14日18時(現地時間/日本時間では15日午前0時)、開催国ロシアとサウジアラビアの一戦で、サッカーの「FIFAワールドカップ」が開幕、1カ月に渡り熱い戦いが繰り広げられる。

 日本代表は直前に監督が交代、メンバーが入れ代わり、ここ3試合結果が出せないなど混迷の度合いは深いが、果たして本番ではどのような結果となるか。そしてブラジル、ドイツといった強豪国の戦いぶりも気になり、サッカーファンのみならず世間の注目を集める一大イベントになりそうだが、今回は時差の影響もあり、深夜の観戦で寝不足となる人も多くなるだろう。

以前ほど消費のイベント効果が見られなくなった

 小売業との関係でいえば、観戦のための大型テレビやブルーレイなどのレコーダーの売り込みが象徴的だが、スポーツのビッグイベントの効果は以前より見られなくなっており、今回もどこまで効果があるかは不明だ。また、テレビ観戦の飲物や食べ物需要の特需も期待されるが、その効果測定は難しい。

 一方、売場では、ワールドカップに便乗して、「がんばれ!ニッポン」「W杯を応援しよう」「サムライブルー」といったPOPを掲げて売上促進を図る動きもあるが、これは商標権の問題でアウト。「がんばれ!ニッポン」は、公益財団法人日本オリンピック委員会、W杯はFIFA(国際サッカー連盟)の登録商標で、サムライブルーの使用も日本サッカー協会の許可が必要だ。

「ロシアに向けてエールを送ろう」「青の軍団に声援を」といったワールドカップや日本代表を連想させるフレーズはセーフだが、企業のコンプライアンスが声高に叫ばれる中、商標侵害にならないよう表現には細心の注意が必要だ。

キリングループは2022年まで公式スポンサー

 これに対して公式スポンサーは堂々と宣伝ができる。日本代表のオフィシャルパートナーはキリングループで2015年から22年までの7年契約。「キリンチャレンジカップ」に協賛し試合で商品1年分贈呈と登場するのも毎回の光景、キリンビールの「サッカー代表応援缶」もおなじみだ。5月30日からはサッカー日本代表の長谷部誠選手が登場するテレビCMも放映している。

 また、キリンビバレッジは、サッカー日本代表公式飲料として「キリンヌューダ スパークリング」「キリンヌューダ スパークリングレモン」を6月5日より全国で新発売、広告にはFC東京の久保建英選手を起用する。さらに、ファミリーマート限定で6月より「キリン メッツSAMURAI BLUE」と「キリン 生茶 日本代表応援デザインラベル」を発売した。日本代表が活躍すればこうした商品の売れ行きもアップする。

移動時のスーツはリシュモンジャパン

 そのファミリーマートはサポーティングカンパニー、日本代表を応援する活動やキリンチャレンジカップのチケットの先行発売も手掛けている。クレディセゾンも同じくサポーティングカンパニー、5月30日行われたガーナ戦で日本代表が勝利すればJALマイレージの交換が1.2倍となるキャンペーンを実施したが、結果は0対2の敗戦で実現しなかった。残念な結果で全く効果はなかったに等しい。

 この他にもアディダスジャパンはユニフォームなどを提供するオフィシャルサプライヤー、リシュモンジャパンは代表チームが移動時に着用するスーツのアパレルプロバイダーとなっている。ちなみに、なでしこジャパンのアパレルプロバイダーは昨年10月から、ワールドからビームスに変更となった。

活躍に加えて、テレビ中継でも視聴率が要求される

 キリンとの契約は二百数十億円ともいわれるように、サッカー日本代表というコンテンツに魅力を感じ、それを通じて企業イメージを醸成し、さらにイメージアップを図るため、スポンサーは巨費を投じている。

 そのため、日本代表には活躍が求められ、試合のテレビ中継でも高い視聴率が要求される。今回のハリル監督の解任に際しては、本田や香川といった人気選手が起用されず、成績も低迷し、ファン離れが進んで人気低下を懸念するスポンサー筋からの要請があったとささやかれている。注目されてこそ巨額なスポンサー料を支払うのであるから、こうした憶測が生まれることにもなる。

 企業のイメージ戦略にとってスポーツは最強コンテンツの一つである。スポンサード契約はさまざまな競技で行われているが、成績いかんの一蓮托生の部分もある。ユニクロはテニスプレイヤーのジョコビッチや錦織と契約を結んで、一気にスポーツウエアのイメージが高まった。

 前評判を覆して日本代表がワールドカップで活躍すれば、一気に盛り上がり、スポンサーにも波及効果が及ぶ。その逆で予選敗退となれば、人気は一層陰りを見せ、スポンサーにとっては頭を悩ませることになる。特に、以前ほど消費のイベント効果が見られなくなっている今、この点は公式スポンサーにとって切実な問題になっている。

 吉と出るか凶となるか、ひとまず予選突破が鍵を握っている。