ワーホリ経験者のキャリアアップ支援とFC展開を想定

Jスタイルズ代表取締役の平渡淳一氏

 WhCの運営をJスタイルズに委託することになったのは、ワーホリ協会理事長の池口洲氏と同社社長の平渡淳一氏が知己を得たことがきっかけであるが、平渡氏の飲食業運営の卓越したノウハウと、国際交流や海外展開についてのビジョンを池口氏が高く評価したことが要因である。池口氏は同店をいずれはFC展開したいと考えていたが、これについて平渡氏も同感であった。

 同店のコンセプトは「日本と海外をつなぐ」というもの。日本の若者をどんどん海外に送り込む一方で、海外で経験を積んだ若者たちと、海外から日本で働きたいと考えている若者を受け入れる基地を展開していく。つまり、アウトバウンドとインバウンドを同時に推進していくということだ。そこで「この店1店舗に終わらせず全国展開したい」という思いを池口氏同様、平渡氏も抱いた。

 日本を訪れるインバウンドは2017年に2869万人となり、2020年には4000万人を超えることが予想されている。東京もさることながら、地方の拠点となる都市や主要観光地には年々多くのインバウンドが訪れている。

 平渡氏はこれらの主要都市を訪問し、英語が堪能な人材の需要について現地の経営者などに取材をした。

 そこで分かったことは、英語が堪能な人材は現状とても必要されており、今後その需要はますます高まるということだった。そして彼らの能力が発揮される場所としてWhCのようなカフェが待望されていることを実感した。

 平渡氏自身も全国のFC展開をしているオーナーたちと知己があり、平渡氏がWhCのビジョンを語ると「私もやってみたい」と名乗りを上げる人が増えてきた。特に海外留学経験のある経営者はこの業態に強く興味を抱いてくれる。

 ワーホリで年間2万人が海外に渡航すると述べたが、現地で仕事をする先はほとんどが飲食業で、しかも日本食レストランが多い。ワーホリ経験者はここでキャリアアップして帰国している。インバウンドが急増する中で、飲食業の経営者、地方自治体の関係者、商店街の人々が、英語が堪能な日本人を採用したいと皆思っている。

 そこで池口氏と平渡氏は、原宿のWhCの機能を生かして、海外でワーホリを経験してきた人たちのキャリアアップの支援をしていこうと考えた。

 平渡氏はかつて経営していた会社では飲食店を最大36店舗営業していた。従業員は300人を擁していた。店長経験者は60人を雇用した。人材紹介の仕事もしてきた。日本の飲食業の採用におけるニーズも分かっている。

運営委託によって求心力と生産性が高まる

 ワーホリ協会がJスタイルズにWhCの運営を委託することに際してのミッションは、まず、WhC生産性を高めること、もう一つは海外でのワーホリ経験者たちを日本で支援することだ。

 そして、Jスタイルズは次のようなことを行った。

ワーホリ経験者の店長、谷口健太氏

 まず、店長にワーホリ経験者である谷口健太氏を据えた。谷口氏は1985年生まれで北海道出身。ワーホリでカナダ・トロントに渡航し、現地の繁盛店(居酒屋)で就労。その能力が認められて、ワーホリが終了してからワークビザを取得して店長を務めた。こうしてカナダに6年間滞在した。帰国後は海外に挑戦し活躍する人材を増やしたいという志を持ち、人材支援基地として店舗を運営してきた。谷口氏が店長に就任したことで、同店のコンセプトはより鮮明になった。谷口氏はワーホリの先輩であり、飲食業のプロフェッショナルということから同店のシンボリックな存在となっている。

 次に、メニューを世界各国のご当地料理やビール、ワインをそろえて、同店で世界各国のプロモーションを発信するものに作り替えた。

今年2月より「世界の料理」「世界のビール・ワイン」でメニューを一新
 

 さらに、国際交流に関わるイベントを開催した。それは、海外で働いてみたいという若者と海外で就労体験した人との交流会、WhCの外国人の従業員と英語を学びたい人との交流会などである。テーマが「海外」や「英語」という具合にはっきりとしていることから、これらのイベントは毎回参加者が多い。

 このような変更をドラスティックに行ったことで、従業員にとって店の方向性が鮮明になり、「皆にワクワク感が生まれてきた」(平渡氏)という。ここから店の雰囲気がポジティブなものに変化してきた。

 WhCのオペレーションも変更した。

 同店は土日祝日はとてもにぎわう。そのピークタイムのオペレーションが効率化されていなかったために、オーダーを受けてから提供するまでに時間がかかっていた。これでお客さまを待たせていた。この部分を効率化することで回転率を上げた。

 そして、席効率を高めた。以前は4人席が中心だったが、それを可動式の2人席にして、それをつなぎ合わせることでグループ客にも対応できるようにした。

 これらによって客単価1300円の店で1時間当たりの最大売上げが7万円のレベルに伸びた。それが今年の5月4日であった。このようにJスタイルズに運営を委託してからWhCの売上は1.4倍になった。

「しかし、WhCまだ完成形ではありません。これからどんどん磨き上げていって、FC全国展開のフォーマットを整えていきます」(平渡氏)