荒利と値入れ、どちらも利益の概念の一つです。似た概念ですが、本質的に意味が違います。これを理解できると利益のコントロールスキルが上がります。

 荒利と値入れの概念を本質的に理解するため、最も原理的な引き算を使用した計算式を使って説明しましょう。

 A式 売価−仕入原価=値入れ高

 B式 値入れ高−(値引き等ロス高)=荒利高

 A式はお取引先と仕入交渉をした結果、仕入原価とその売価が決まり、差し引きその商品の値入れ高が決まったものです。

 B式はその商品を販売した結果、値引きが発生し、値引き高を差し引いた結果、この荒利高が残った計算になります。

値入れは計画概念、荒利は実績概念です!

 このA式の意味は、計画段階の予定した利益であり、B式の意味は販売した後の実績の利益となります。言い換えると、値入れは計画段階の利益の概念、荒利は実績段階の利益の概念なのです。

 経営を進めていく上で荒利が最も重要な利益概念ですが、その荒利の前提が値入れなのです。従って、荒利予算を達成するには、本部商品部バイヤーが値入れ高に責任を持ち、店舗の現場の売場責任者が値引き・廃棄等のロス高に責任を持たなくてはならないのです。その結果、本部と店舗が共同責任で荒利高予算を達成することになるのです。

値入れは「売場をつくる前」、荒利は「つくっている最中」

 値入れは計画段階の利益概念ですから、店舗で実際の売場をつくる前にコントロールすることとなります。バイヤーは売場単位で目標とする荒利高を実現するに必要な値入れ高を明確にし、売場単位で売価、原価、数量と想定した値引き高をシミュレーションします。このシミュレーションに基づいて、売場責任者へ売場づくり(陳列位置、数量目標、展開時期等)のガイドを提示します。このシミュレーションをできないバイヤーは計画段階で、目標荒利高に必要な値入れ高を確保できず、目標とする荒利高を達成したことがないのです。

 一方、荒利は実績段階の利益概念ですから、実際に売場をつくっている最中にコントロールすることになります。バイヤー提示のガイドに基づいて、売場をつくりますが、計画通りに進行しないのが、現場です。お客さまの買い方、メーカーの動向、気候の変動に大きく影響を受けるからです。

 そこで、売場責任者は目標荒利高を確保するため、値引きのタイミングと額、在庫コントロールが必要になります。

責任はバイヤー「値入れ」、売場責任者「値引き、廃棄、在庫」

 このように、目標荒利高を達成するためには、バイヤーが目標値入れ高に責任を持ち、売場責任者は値引き、廃棄、在庫に責任を持つことが必要になるのです。