今春、世界最大の無印良品の売場として華々しく登場した「無印良品イオンモール堺北花田」。今までにないさまざまな挑戦や新たな取り組みを展開する、この店舗。Eコマースの攻勢で、店舗小売業の存在意義が議論される中、今後の無印良品のみならず、小売りの在り方を問う問題提起につながる店舗といえるだろう。

「こだわり商品であれば高くてもよい」に警鐘

 

 まず目立ったのが、店舗に小型のスーパーマーケット(SM)がビルトインされたこと。無印良品は菓子、レトルト、飲料などを取り扱ってきて、レトルトカレーが人気を集めることもあったが、今回、本格的なSM事業への進出となった、

 生活者の暮らしをカバーしサポートするという意味では品揃えの拡大は当然のことだが、最大の狙いは生産者と消費者をつなぐことにあると無印良品は考え、農産物の産地や漁港から商品を調達し、双方にとって適正な価格で販売する。

 丁寧に作られたものには消費者もそれなりの対価を支払うことで、生産者にもメリットを与える。ただし、「少し安い少し高い」の範囲にとどめる。こだわりでもプライシングは重要で、買いやすさを重視している。

 これは一部にみられる「こだわり商品であれば高くてもいい」という風潮に警鐘を鳴らす意味も込められており、価格がリーズナブルとは何かということを改めて提示していると思う。

全国には発掘されていない商品がまだまだある!

 また、全国各地で伝統的な製法で作られているものなどを発掘し、地域産品も紹介、オリジナル商品も開発し、登場させた。

 このような取り組みはSMでも一般的に行われているが、今まで見慣れなかったアイテムも投入されており、まだまだ発掘の余地があると実感した。

 こうした取り組みで、「おいしいってなんだ」と改めて提起し、「おいしいものはからだにうれしい」と定義付け、無印良品としての食の在り方を追求するが、コンセプチュアルな企業である無印良品が行うことで従来とは違った側面が出てくることが予想される。

 無印良品ではまだ始まったばかり、やるべきことはたくさんあるととらえており、MDを深掘りして進化させていこうとしている。

“NBも並ぶ異様な光景”は今後どうなる?

 

 約40年前に、「わけあって、安い」をキャッチフレーズに、スーパーの西友で開発された無印良品。NB(ナショナルブランド)のアンチテーゼのノーブランドの商品として、本当に必要なものを、本当に必要なかたちで作り、そのために、素材を見直し、生産工程の手間を省き、包装を簡略にし、安さを実現させた。

 その後、川下から川上までさかのぼり、SPA(製造)企業として商品の企画、開発、製造、物流、販売まで一貫した体制を構築し、オリジナルの商品を提供し続けてきた、そして今回、菓子、調味料、飲料などの加工食品や、納豆、牛乳などの日配食品で、メーカー品を導入したことは、大きな転換となった。

 無印良品という自分の色に、メーカーという他人の色が混ざったことはかなり違和感を与え、キユーピーマヨネーズや明治のおいしい牛乳も並ぶ売場の様子は、従来の無印良品では考えられない異様な光景だ。

 生活者に必要な商品を届けるという意味で品揃えされているのだろうが、こうしたNBアイテムは、商品調達力や開発力が高まれば、いずれ姿を消していくだろう。

パーソナルギフトの取り組みもチャンスあり!

 今回、あまり注目されていないが、カウンターを備えたパーソナルギフトの売場も重要な意味を持つと考えている。ここでは菓子、お茶、しょうゆなど全国の銘店の商品を集積し、ラッピングサービスも行っている。

 

 ギフトマーケットにおけるパーソナル市場は年々拡大しており、中元・歳暮をはじめとするフォーマルギフトが減少する中、ここに対してどうアプローチし需要を取り込んでいくのか、メーカー、小売りに問われている。

 今回の無印良品の取り組みはおとなしめの取り組みだが、世界に事業を展開していることから、取り扱いアイテムの広がりや、無印良品らしいコンセプチュアルな展開も予想される。パーソナルギフトは需要喚起を含めて取り組みがいのある隠れた成長市場である。正攻法よりむしろユニークな発想やアイデア次第のところもあり、誰でもチャレンジできる。このマーケットを見逃すことはみすみすチャンスを逃すことになろう。