オーナー不在でも回る仕組みづくりと役割があれば生き生きと活動する人たち

 2サロンに共通するのは、オーナー本人の手を離れてサロンメンバーが自発的に動いている点です。

 外から見ていると、どちらのサロンにも既にキャリアや経験を持った人だけでなく、いわゆる一般の人も多いように見受けられます。ただし個の力を集結して、チームやグループという形でプロジェクトを成功させている、と現時点で認識しています。

 例えば地方に住んでいる人が、自分の地域でイベントを企画発案するとします。するとメンバーの出欠をまとめる係、当日の写真撮影を行うカメラマン、料理や会場を手配する人など、一斉にWeb上で役割分担が行われている(ように見える)のです。

 イベントを発案して、内容も詰めて、レポートもまとめて……と全てを個の力ではできなくても、集団になって仕事が生まれ、分散化されると「できる」。仮に失敗しても損害が少ないため、どんどん挑戦できる。これを繰り返していけば、自然と自分のスキルも向上していくのだと思います。

 その中でも最も成長して学びになっているのはオンラインサロン主宰者本人だと思います。これだけの大人数に気を配り、まとめ、運営していくのは相応のスキルが必要とされるはずです。さらに月額課金制という性質上、当然毎月退会者も出てくるので、どれだけ場の魅力を維持して舵取りをできるかリーダーとしての力量が問われるからです。

 恐らく月会費を払って参加すれば、これ以上の情報を短期間で圧倒的に学べることでしょう。ただ、オンラインサロンの是非やオーナーの良し悪しを論じるのが今回の目的ではありません。

 内容としてももちろん興味深いですが、むしろこれだけ大所帯の組織を回していく過程に今私は強く引き付けられています。人を集める、そして留まらせる、何ならお金を払って「仕事」をさせる、それでも参加者は生き生きしている。これからの時代を生き抜くために活用できるヒントがたくさん集まっていると感じます。

リアルでも実践可能!カーネーション取り放題農家の「真の目的」とは

 

 こう書くと、既にある程度の認知度を獲得した有名人や固定ファンが付いた人でないとそもそも集客ができないと思われます。でも、実はそうとも言い切れなくなってきているのです。

 5月に、カーネーションの産地である静岡県河津町の安田農園にて、カーネーション取り放題が行われたというニュースを観ました。テレビ画面に映る参加した主婦は「こんな花束、息子にももらったことない!」「自分では買えないのでうれしいですよね」と大喜び。

 なぜ、このイベントが成立するのでしょう?

 仕掛けは2つ。参加者は花だけではなく畑から根まで引き抜くという点と、母の日後に開催するという点です。農家は母の日用のカーネーションを出荷した後に規格外の花や育ちの遅い花を処理する必要がありますが、ご存知の通り高齢化で農家は人手不足です。

 そのため余ってこのままなら捨ててしまう花をプレゼントすることを条件に、農作業を無償でお客さまに手伝ってもらうという仕組みです。援農ボランティアツアーとして募集定員がすぐ埋まる人気企画で、リピーターも多いそうです。

お金、知恵、時間――あなたは何を使って勝負する?

 さて、これでも「知名度がなければ集客できない」といえるでしょうか? 私たちはテレビに出ている人や政治家、もっと身近な例でいえば立派な肩書きや役職がないとできないと諦めてしまう機会が多くあると思います。

 でもお金がなくてもできることはたくさんあるのです。もちろんお金があればできる選択肢は増えるのは間違いない事実です。でも、お金がないなら代わりに何を使うのでしょう。自分たちの知恵も、体も、時間も一切使わないで、どうしてうまくいく、成功できると思うのでしょうか?

 予算がないならないなりに、戦い方を考えなければ流通・小売業はジリ貧になるだけです。どんなにいい商品を作っても、素晴らしい場所であっても、悲しいことですがそこに人が集まらなければやがて衰退していきます。

 そんな心構えで、お金や知名度を既に持っている大企業や競合他社、ライバルに勝てるとは到底思えません。今の環境に対して悔しさや閉塞感を持っているならば、ぜひ、お金を払われる側の仕組みを考えるポジションに就いてください。

 サービスの提供者と受け手、場合によっては第三者も、Win-Win-Winになれる関係は工夫次第で必ず築けます。そのために、0→1にする集客力を身に付けてください。そしてできればそこで得たお金を、応援したい人や企業、次への新たな投資として活用し、経済や価値を回していく人間になってください。

 人の集まる場所には、必ずチャンスが生まれます。そして人が多ければ多いほど、その場には熱がこもります。熱は小さなグループから伝染して、広い集団までじわじわと染み渡っていき、さらなるファンを連れてきてくれるはずです。

 この業界で働いているのならば、お金を払って学ぶ以上に、仕掛ける側に回ってください。そうすれば単にものやサービスにお金を「払う」側よりもずっとずっと自分たちの糧になり、必要とされる存在になっていくと信じています。