ヴィーガン対応が受け入れのキャパシティを広げる

 最近のインバウンドは個人客がとても多くなった。清成氏の料理教室でも一人で予約してくることが多くなっているが、受講者が一人だけでは採算が合わない。

 そのような場合、清成氏はインスタグラムでこのようなメッセージをあげる。

「〇月〇日に〇〇国からお客さまが1人で〇〇コースの料理教室を受けに来ます。どなたか一緒に楽しみませんか?」

 すると、在日ムスリムが「私も参加します」という形で申し込んでくることもある。

 また、インバウンドと料理教室をつなぐ「tadaku-with locals」というサイトがあり、ここからfacebookで受講生を紹介されることもある。その中で「ベジタリアン」「ヴィーガン」を希望する人が予想以上に存在し、非常に驚いたという。そこで清成氏は、彼らを受け入れるための対策を考えた。ハラール対応の食材・調味料の中で、動物性のもの、卵、乳製品を一切使用しなければヴィーガン対応となると考え、料理教室の3つのコースの中で「ラーメン、餃子、抹茶プリン」が対応できると判断。餃子には肉の代わりに水切りをした豆腐を使用。ラーメンは鶏チャーシューの代わりとしてピーマンを丸ごと入れ、抹茶プリンは豆乳を使用した。

「Tadaku-with locals」から初めて受け入れたヴィーガンの受講生。オーストラリア人のカップルで男性はボディビルダー、女性は元々野菜嫌いであったという。

 そして4月15日、清成氏は「Tadaku-with locals」より初めてヴィーガンの受講生を受け入れた。オーストラリア人のカップルで男性はボディビルダー、女性は元々野菜嫌いであったという。2人とも後にヴィーガンとなったのだが、体が健康になったことを実感しているという。そこで2人に清成氏が考えたヴィーガン対応のラーメン、餃子、抹茶プリンを提供したところ、大層好評だったという。

ヴィーガン対応の餃子には肉の代わりに水切りをした豆腐を使う。
ラーメンは鶏チャーシューの代わりとしてピーマンを丸ごと入れている。


 この体験を踏まえて清成氏はこう語る。

「基本的に私はハラール専門の料理教室を運営したい。ただし、ハラールの申し込みを受け付けている日に、ヴィーガンの人が一緒に参加したいと申し出たときには、ハラールの人もヴィーガンの人も一緒に楽しんで欲しいと思います。インスタグラムにはヴィーガン対応ができるようになったという文言を付け加えました」

 清成氏は時折肉料理を提供するバルで仕事をしている。そこで、日本人のグループ客がコース料理を注文したところ、「ベジタリアンが1人いるので、1人分ベジタリアン対応でお願いします」と言われたことがあった。このような経験からも清成氏は、「レストランも料理教室でも、一般の人も食に禁忌を持った人も一緒に食事ができる対応を整えておくことが重要ではなか」と考えている。

 清成氏の料理教室では受講生にアンケートを取っているが、「天ぷら」の要望が多いという。そこでヴィーガンの立場から組み立てた「野菜の天ぷら」コースも検討している。

 また、近隣の自治体や全国のさまざまな人からハラールの料理教室を開催してほしいという要望をいただくことが増えてきた。在日ムスリムに向けた出張料理教室を、第一弾として7月に名古屋で開催する準備を進めている。

「ハラール専門の料理教室」で発信してきた清成氏の活動は、「食の多様性」が進む中で先見的な体験を積み重ねている。