4月27日開業したイオンモールの「THE OUTLETS HIROSHIMA」(ジ アウトレット ヒロシマ)。グランドオープン当日には開店前に5500人が行列を作り、GWには多くの人たちが訪れ、来場者は5月6日までに70万人に達した。平均すると1日当たり7万人も来場したことになり、好調なスタートを切ったといえるだろう。

 駐車場の車のナンバーは35%が山口、島根の近県が中心で四国の愛媛はまだ少ないが県外からも来場している。ただ、四国でのまだまだ認知度が低く、これから夏休みにかけて、アプローチを強め、認知度が上がっていけばまだまだ増える可能性があると思われる。

年間6700万人の観光客をどうつかむ?

 広島は厳島神社、原爆ドームといった世界遺産など豊かな観光資源があり、国内外から年間約6700万人(2016年 各市町村延人数)もの観光客が訪れる。こうした国内外の観光客も呼び込み、「THE OUTLETS HIROSHIMA」では車で110分圏を中心に、年間800万人の来場者を見込んでいる。インバウンドでの来場はこれからで、どこまで伸びるか注目される。

 約2km 離れた山陽自動車道の五日市IC、約10km には広島自動車道の広島西風新都ICがあり、広島市中心部から車で約30分という立地。足元の人口は約1万7000人と少ないこともあり、通常のショッピングセンター(SC)ではなく超広域から人が呼べるアウトレットモールでの出店。そこで、イオンモールは単なるアウトレットモールを作るのではなく、「本格的アウトレット×エンターテインメント×地域との出会い」をコンセプトに「地域創生型商業施設」として出店することにしたわけだが、開業後の状況はどうだったのだろうか?

「よりみちマルシェ」はこれから売り込みに注力

 ここからは開業後の状況や感じたことを、このSCの特徴と合わせて紹介していく。

 今までの出店に際してもイオンモールは地域との連携を重視してきたが、今回はさらに一歩踏み込んでおり、さらにエンターテイメントや飲食ゾーンでも新たな展開をする従来と比べてかなり異なる施設になっている。

「地域との出会い」を意識したゾーンが、「なみのわガレージ」。「石田製帽」や縫製工場「八橋装院」のファクトリーブランド「FUKUNARY」、刃物専門店「「丞(TASUKU)」といった地元の企業が出店、瀬戸内や山陰エリア の企業・団体・職人・作家・クリエイターが手掛けた雑貨を集めた編集型ショップ「SAKKA ZAKKA」というユニークなショップも展開。「SAKKA ZAKKA」のようなショップは定着するまで時間がかかるが、地道にワークショップやイベントを実施するなどして顧客を取り込んでいく予定だ。

 隣接する「よりみちマルシェ」でも、広島県の各自治体と連携し、瀬戸内・広島の名産品を集めた「瀬戸内TRIP」をはじめ、広島銘菓の「もみじ饅頭」、地元のスイーツの人気店などが集結し、地域の食を発信する。よりみちマルシェでは安い商品は売れているが、全体的な手応えは今一つのようで、一つ一つ商品の良さをアピールして、これから売り込みに力を入れていく。

「V BASE」はより緩く、ごちゃごちゃした方が来場者の関心をひくのではないか(写真は開業時)。

 そして、広島市を中心に24市町の「広島広域都市圏」の観光・物産などに関する情報ブース「V BASE」。イオンの電子マネー「ワオン」のご当地版「広島広域都市圏 V WAON」も発行され、地域振興に役立てる考えだが、ここは官製ショップにありがちなまとまったスペースになっているが、より緩く、ごちゃごちゃしたものにした方が来場者の関心をひくと思われる。

 地域との係わりは従来は、「地元企業のテナントを入れる」「地域のイオンリテールのGMSが生産者と連携して商品を調達する」といった取り組みがメインだったが、今回は開業前の早い段階から現地に人を送り込み、現地の従業員が地域とより関係性を密にして築き上げている。テナントリーシングも本部主導ではなく実施したことで、特色のあるショップを発掘、テナントも協働して店づくりを行えた。

観光客には新鮮でも収益面で難しいものもある

 こうした一連の取り組みは、遠方からの来場者や国内外の観光客には新鮮に感じられ興味をひくが、中には収益面を考えると難しいものもあるのも事実。イオンモールは全体の中で考えて、バランスをとることで吸収していく考えだ。

 商業施設は地域との係わりの中で、モノやサービスを提供するだけではなく、さまざまな関係性が生じる。近年は地域の人たちが集い、交流するコミュニティの役割が注目されているが、それだけではなく、今回のようにいろいろな展開が考えられる。SCの機能としてどう展開していくのか、新たなコンテンツの開発も求められる。