現在、提供しているラーメンの種類は6つ。サイドメニューとして餃子や唐揚げもラインアップしている。

『侘助』『麺処びぎ屋』『ドゥエ イタリアン』。ミシュランビブグルマン(5000円以下で食事ができる、おすすめレストラン)に選出された人気ラーメン店の味が、今シンガポールでも大人気だ。

ミシュランビブグルマンを受賞した麺処びぎ屋の「ゆず香る白醤油ラーメン味玉」(17.8シンガポールドル)。一番人気のラーメンだ。

 といっても、これらの店がシンガポールに進出したわけではない。シンガポールで人気ラーメン店の味を提供しているのは、「ラーメンギャラリー宅麺」。人気ラーメン店のスープや麺、具材を冷凍し、自宅やオフィスに宅配する日本のECサイト「宅麺.com」を運営するグルメイノベーションが2014年にシンガポールに開いたラーメン店だ。

 同社が海外への進出を検討し始めたのは2012年。当時はまだどの国に出るべきか、決めかねていたという。

 代表取締役社長の井上琢磨氏は振り返る。

宅麺.comの創業者、井上琢磨氏。日本での事業を軌道に乗せた後、シンガポールで宅麺事業を推進している。

「中国、東南アジアを3カ月に一度の出張で回っていましたが、マレーシアに行ったときに移住した友人にマレーシアの素晴らしさを聞かされてすっかりその気になってしまいました。その後、今度はペナン出身のマレー人からペナンの良さを力説され(笑)、3カ月後にペナンへの移住を決めました。2011年まで私はパスポートも持っていなかったので、まずは体を海外に出してみて、環境を変えようと考えたんです。事業を展開するにあたっては、シンガポールを皮切りに東南アジアに広げていくか、あるいは上海や香港から中国に拡大していくかの2つの間で悩みましたが、リサーチの結果、シンガポールでうまくいけば他のアジアの国にも応用できるだろうと結論を出しました」

 井上氏は大学4年の1998年6月からサイバーエージェントでインターンを開始し、卒業前に入社。その後は子会社のトラフィックゲート(現リンクシェアジャパン)の起ち上げに関わり役員に就任し、2009年にグルメイノベーションを立ち上げた。「まずは体を環境に慣らす」という発想と抜群の行動力はいかにもIT業界の起業家らしい。