イラスト・三田明彦

ヒトの心は不思議がいっぱい。それを探るのが心理学。心理学は実践の科学です。実際に使えば理解も早いし応用も利くようになります。ご紹介する心理テクニックは現場で役立つことばかり。ぜひ使って販売力をUPさせましょう。

 今回からさまざまなビジネスシーンですぐに活用でき、驚くほど効果のある心理テクニックの数々をご紹介していきたいと思います。

 第1回は、『ダブルバイント』という心理技法。

「買いたいけど、今日は買わないで見るだけにしておこう」

 そう思っている顧客をいつの間にか買う気にさせてしまう心理テクニックです。

 この技法を開発した心理学者ミルトン・エリクソンの名前をつけて、『エリクソニアン・ダブルバインド』とも呼ばれています。

 これは、迷っている相手に「二者択一」の質問をすることにより、自分の望むゴールへと誘導する心理技法。

 ガードを固めている相手に「買ってください」と頼んでも、NOという返事をもらうのがオチ。ダブルバインドは、「買ってください」という言葉は決して使いません。買ってもらうことを前提にして話を進めるからです。

  陳列棚の前で商品の品定めをしている顧客がいるとしたら、例えばこう切り出してみましょう。

「そちらは春の新作なんですよ。お客さまでしたら、ピンクとイエロー、どちらがお好みでしょう」

「そうねえ、ピンクかしら」

「ピンク!お客さまのお肌との相性もバッチリですね。こちらは長さが2種類あるんですけど、ミニとセミロングだと、どちらが……」

「そうだなぁ、ミニもいいかなぁ」

「いいですよねミニも。きっとお似合いですよ。じゃ、ミニの方、試着なさってみます? それともセミロングも?」

「そうね、じゃ、せっかくだから両方」

 このように、どちらかを選択させることで、顧客の迷いを「買うか、買わないか」ではなく「どちらにするか」に置き換えてしまうのがこの技法の巧みなところ。

 結果的に全て自分で決めているので、顧客としても断りにくいのです。人は自分が決めたことには強いこだわりを持ってしまう生き物だからです。

 注意点は、押し付けがましくならないこと。強引な印象を与えさえしなければ、この心理技法は面白いほど効果を発揮します。ぜひお試しを。