国内にあるショッピングセンター(SC)は3000を超える。今、各地で出店過剰でお客を奪い合う激しい集客合戦が繰り広げられており、SCは淘汰の時代を迎えている。そうした中で、まずは足を運んでもらうために、それぞれの施設は知恵を絞ってイベントや販促プロモーションを仕掛けて人を集めようとしている。

次回は5月25日、横浜駅東口の「スカイビル」で

 商業施設の開発から運営までを手がけるワイサポートが主宰する「販促サミット」は、全国各地の施設の販促担当者が一堂に集まって情報交換を行うユニークな集まり。お互いの手の内をさらけ出し、意見を交換。自分たちの施設でもできるものは採り入れようとするオープンな会議体だ。

 毎年、春と秋の2回開催され今年は17回目が、5月25日「スカイビル」(神奈川県横浜市)で18施設が参加して開かれる。

「SCは競争が厳しくなっており、どこも楽ではない。現状を少しでも改善しようと、いわゆる講習会ではなく、販促に関わる実務情報、ノウハウの交換を行っている。本音で語る本物の価値ある情報が飛び交う場になっており、失敗も含めて実例を紹介し合いながら研鑽を深め、それぞれが持ち帰って役立てている」(ワイサポート 青木辰夫副社長)

知恵でできる成功事例はこんなにあった

 

 独立系の中小施設が多く、イベントや販促の予算も限られているため、知恵を絞って自前でできるものを行うケースが多い。夜間のオープンモールの広場は賑わいが失われる。そこで近隣型SC「もりのみやキューズモールBASE」では、夏休み期間中、オープンモールの中央広場にあるイベントスペースで、「ムーンライトヨガ」を開催。毎回50人程度が参加し、夜間の賑わいを出すことにつなげた。

 中規模商業ビル「WACCA池袋」では、キッチンスタジオを設け、年間を通して飲食イベントや料理教室などを開催。自治体や企業、メディアと連携しながら効果的で継続した情報発信を行い、コミュニティづくりにも取り組んでいる。アート・カルチャーの発信基地としての役割も担い、豊島区やアーティストと共同で数々のイベントを展開し、収入が得られるものも展開している。

 名古屋のJR金山駅前にある複合商業施設「アスナル金山」では、2640㎡のすり鉢状の「劇場空間広場」で多数のイベントを実施している。毎年恒例の自前の「アスナル ファッション フェスタ」はファッションショーだけはなく、ネイルケアなどの体験ブースを設けて参加型にして、大勢の人を集めている。

 名古屋の栄にある「オアシス21」では夏に開催しているキッズ向けの体験型イベント「集まれ★なつまつり 毎日体験わくわくワーク」で、市内全ての小学校や特別支援学校にチラシを配布することで参加者が大幅に増え、参加条件に当日のレシート1000円以上の条件を付けたことで売上げアップにもつながった。

 広島県福山市の「リム・ふくやま」(公共の子育て支援ゾーンなどもある商業と公共のハイブリッド型施設)は、ファミリー向けを中心に年間約1000件ものイベントを実施し集客効果を上げている。新たに周辺のオフィスワーカーの取り込みを目指し、優待カードを発行、120社に1万枚を配布し、待ちから攻めの姿勢に転じ、攻勢をかけている。

 開業して20年目となる愛媛県今治市の「ワールドプラザ」は、半年間で全体の3分の1の店舗が退店するという緊急事態が発生した。それに伴い、販促費を抑えたが、テナントの士気は大幅に低下、施設の雰囲気が澱む結果となった。そこで、キャラクターショー、ビンゴ大会、縁日ブースなどの大イベント「わ〜ぷら祭り」を開催、参加者は1700人も集まり、テナントの売上げも約1割前年対比でアップした。地元の居酒屋が主催する「梅酒利き酒大会」やテナントと組んだ「利きアイス選手権」などユニークな催しも開催し、大勢の人を集め、テナントの士気も回復し、大いに盛り上がった。

成功事例も大切だが、失敗から学ぶことも多い

 このように、手づくりのイベントで施設への来場を促し、賑わいを演出しながらそこからリピーターになってもらって売上げにつなげていこうとしているわけだが、当然、期待値に及ばない例もある。

「中部国際空港 セントレア」では、ポケモンのイベントは前年より1.5倍~2倍の人が集まったが、サンリオのキャンペーンでは、やや反応に鈍さが感じられた。

「りんくうプレジャータウン シークル」は、10周年を迎えて観覧車無料開放や大抽選会を行い、大きな成果を収めたが、スマホで館内のQRコードを読み取る「モバイルスタンプラリー」はコンテンツに魅力が薄く、思ったほどの成果には結び付かなかった。

「フォレオ大津一里山」では、「イオン西大津店」が昨年4月、イオンスタイルとしてリニューアルオープンし大きな影響を受けた。そこでウルトラマンヒーローの握手撮影会を開催、募集人員の2倍の200人が詰め掛ける大盛況だったが、地元のラジオ放送で来館を呼び掛けた取り組みは反響が出にくかったこともあり、今後はテレビCMに切り替えていく。

 イベントや販促プロモーションはうまく行くものもあれば当てが外れて失敗するものもある。成功事例を採り入れることも大切だが、失敗から学ぶことも多い。競争が厳しいなか、まず、いかにして人を集めるか。イベントや販促プロモーションの役割は重要度を増している。「販促サミット」という忌憚なく情報交換できる場は、それぞれの施設にとって貴重なものとなっている。