日本全国でコンビニの夜勤者は推定10万人弱おり、深夜の消費と安心を支えている。

 5月15日に日付が変わったばかりの丑三つ時(深夜2時)、ローソンがスマホを使った決済でのレジ無人化の実証実験をしているということで眠い目をこすりながら実験店舗であるローソン大井店に行ってみた。

 ローソンが実験しているスマホ決済の方法の概略をおさらいすると、

①ローソンアプリからローソンスマホペイを選択 ※ローソンスマホアプリのダウンロードと新規登録作業が必要

②画面に従い、店舗を選択(自動選択or店頭QRコード読み取り)

③スマホ画面を使い、お客自身で商品のJANコードをスキャン(店内のどこでも)

④買物を終了後、決済方法を選択(クレジットカード・Apple Pay・楽天ペイ)

⑤決済後は、店内の専用リーダーに画面に出てくるQRコードを読み込ませ、買物終了の流れ

 筆者が訪問したときの深夜の無人レジ実証実験は下記の内容を記したボートをレジに掲示し、店内では従業員2人が夜に配送される商品の納品片付けや品出し作業をしていた。

精算はお客が行い、従業員は店内作業に集中

 

 ボートには、

『お客様へ

当店では5月31日まで、深夜1時〜4時の間、レジ無人化の実験を実施しております。

レジに店舗従業員はおりませんが、店内で作業をしております。

お問合せやレジでのお買い物をご希望のお客様は、お手数ですがこちらのブザーを押してくださいますようお願いいたします。

大変ご迷惑をお掛けいたしますが、ご理解のほどよろしくお願い致します。』

と書かれており、ブザーを押せば、従業員がレジ作業をしてくれる、まさに省力化の実験となっていた。

 この実験では店内の商品だけを買うときはスマホペイ決済のみの対応が可能だが、カウンター内にあるファストフード・切手・はがきや酒・たばこなど年齢認証が必要な商品などの購入、宅配便や収納代行などサービスの受付、現金で決済する場合は従業員の力を借りることになる。

万引きをしているように見えたら嫌だなぁ

 今回の実証実験は、ローソンアプリをダウンロードしているお客さまがまだ多くないことも推察され、その浸透率によるリピート率、店内の商品だけを買うお客さまの比率などなど、まずはかなり初期段階の実験となっているようだ。

 

 筆者自身もゲートシティ大崎店や晴海トリトン店で朝のラッシュ時や午後のピーク後に利用してみたが、朝のラッシュ時には店内も混雑しており、棚の前に立ち止まり、商品をスキャンするのは他のお客さまに邪魔になるのではないかと若干ちゅうちょしてしまったりした。

 ただし、閑散時間帯ではストレスなく使用することができた。筆者の場合はスキャン後、そのままバックの中に商品を入れたので、万引きしているように周りに見えたら嫌だなあと思ってしまったが、きっと利用者が増えればそんなことが気にならなくなるのは間違いないのだが、初期段階のスマホペイによる新しい購買行動はスリリングだ。

レジ通過客数は全国で50万~80万人

 現状、コンビニの店舗従業員の作業の4分の1はレジ作業に割かれていると言われており、セルフレジを含め、その作業を従業員に変わってお客さま自身が行うということが、浸透してくれば店店舗従業員の作業省力化に寄与することは間違いない(ただし、実験店で行われているポイントカードの「100円(税抜き)お買い上げごとに3ポイント!!」など、作業を代行するお客さまにメリットを出すことが必要不可欠であると思われる)。

 新しい購買行動が日常の風景に溶け込み、今回のスマホペイなど新しい取り組みが進化して一般化するまでには3〜5年くらいのスパンが必要で、通常のオペレーションとの共存の在り方がポイントと考えられる。

 今回のスマホペイの実験時間である深夜1時〜4時の平均的な日のレジ通過客数は、歓楽街など店舗を除き、3時間で10人前後で、全国では50万〜80万人前後ではないかと業界では言われている。

 この数値からも分かるように、コンビニの深夜営業はお客さまにとっての『開いてて良かった』のニーズでの営業が第一ではないことが分かる。

 今回の実験店舗でも従業員が商品の納品片付けや品出ししていたことで分かる通り、それに清掃も加わり、深夜は翌朝からたくさんのお客さまをお迎えするための準備期間として重要な時間帯となっている。

 また、中食を運ぶチルド配送の朝便や昼便以外はほとんど22時〜翌4時に商品が納品されるが、これは(従業員の作業に合わせている側面もあるが)、物流効率を考えると深夜は渋滞も無く、店舗への定時店着など圧倒的な配送効率を実現できるメリットがあるためだ。

現金以外の決済が浸透するとコンビニ強盗も減る

 警視庁の統計によると、平成28年のコンビニの深夜強盗は322件。ピーク時の平成21年と比較しておよそ6割減で今後も減少傾向にある。

 

 スマホペイなどの現金以外の決済の広がりにより、店舗での現金の取り扱いが減っていくため、コンビニ強盗は監視カメラの存在もあり、ますます減っていくことも予想される。

 コンビニオーナーにとっては、恒久的な人手不足および収益面でも深夜のアルバイトは頭を痛めるところで、本部は今後、AIなどを含む新技術で省力化を加速させて、深夜2人勤務体制から1人体制(ワンオペ)での深夜勤務体制を推進してくものと思われる。

 今回のスマホペイ決済の深夜の実証実験はさまざまなことを考えさせられる巡回となり、今後のコンビニの在り方をのぞき見られた気がする。