群馬県にある「湯檜曽」という駅名を知っているでしょうか。「ゆびそ」と読むその駅は、山に囲まれた無人駅。特に観光名所もない、強いて言えば与謝野晶子の夫・鉄幹の歌が刻まれた石碑が草っぱらにぽつんとあるだけの、本当に何もない駅です。

 ちなみにわが家では車を所持していないため、アクセスは電車のみ。駅からは歩けるけれど、周囲にはひたすら山と道路があるだけです。近隣には営業しているのかも分からないさびれた宿屋街がちらほら。

怒涛のおもてなしの数々!売り手視点と受け手視点の両立

 こんな辺鄙な場所にあるのが「天空の湯 なかや旅館」という宿です。扉をガラガラ開けて広がるのは、古民家風のロビー兼休憩スペース。浴衣は大人だけでなく子供も着られるようにサイズ展開されており、ちゃぶ台でお茶と手作りのお菓子を頂きながら館内の説明を聞いてチェックインします。カゴでは夜食用のカップラーメンが販売されていて、外国人のお客さまが興奮して大量買いしていました。

ちゃぶ台のあるロビー兼休憩スペースからは外が見えるようになっていて、ゆっくりくつろげる。写真は筆者の娘
ウエルカムドリンク&手作りのお茶菓子。子供用にはジュース。落としても割れないプラスチックコップとストローが親目線では安心


 部屋の備品にも工夫が施されていました。売店で販売する商品をサンプルとして部屋に置いて試してもらうまではよくあります。ただしこの旅館は手の除菌スプレーにまでびっちりと書き込まれた取り扱い説明書を付けて「2月のディズニーランドに行っても誰一人インフルエンザに感染せず無事帰還したのはこれのおかげ!」など面白いエピソードを載せているのです。

 料理は予約の際のコースが基本であるものの、オードブルの追加単品メニューにはついつい頼みたくなってしまう内容が1メニューに1枚ずつ掲載されていました。商品が開発された背景・ストーリー、「オレンジ色のとろうまポタージュ」など好奇心が湧く商品名、「これを食べるために来る」というお客さまからの生の声の紹介。

追加注文した「骨付きスペアリブ~クラシカルな香ばしさで~」。横に添えられているのは、「ちゃ~んとじゃがいもの味のポテトチップ」。サクサクでおいしかったです