ニンジンのみでスープをつくっている東京駅店のビーガンラーメン

ビーガンラーメンのパイオニア

宮崎千尋氏

 Webで「ビーガンラーメンの店」を検索すると10店舗ほどが出てくるが、その中でもパイオニア的存在が「ソラノイロ」である。

 1号店である麹町の本店は2011年6月にオープン(15坪17席)。現在は、東京駅ラーメンストリート店、名古屋ミッドランドスクエア店、浅草橋Factory&Labo、京橋エドグラン店と展開し、ビーガンラーメンは浅草橋を除いた4店舗でメニュー化している。

 これらの店舗を展開する株式会社ソラノイロ代表取締役の宮崎千尋氏は1977年生まれ。「一風堂」の創業者である河原成美氏(現・株式会社力の源ホールディングス代表取締役会長/以下、力の源)に傾倒し、同社に入社してからラーメンの創作力と独立心を育んだ。

ソラノイロ麹町本店

 ソラノイロ麹町本店は当初「中華そば」とベジタリアンに対応した「べジソバ」の2本立てでスタートした。

 ビーガンラーメンは2014年よりメニューに加えた。きっかけは、その年の1月にクールジャパン事業としてフランスで行われたラーメンのイベントに参加したことである。

 このイベントで一風堂をはじめ日本のラーメン人気店が参加して、それぞれのラーメンを会場で振る舞ったが、ソラノイロではべジソバを1日600食提供するという人気を博した。

 そして、宮崎氏はここの来場者から「ビーガン対応をしているのか」と質問されたという。その意味がよく分からずにいたところ、質問した人から「すごく残念だ」と言われたという。そこでビーガンの重要性を強く認識し、早速ビーガンラーメンをメニューに加えた。現在は、オリエンタルベジタリアン(台湾素食)も提供できるようにしている。このメニューの存在をアピールしていないが、存在を知った台湾人などが食べにくるという。

 このように、ソラノイロのビーガンラーメンはべジソバを導入したことが原点となっている。

ビーガンラーメンを説明するポスター(東京駅店)

ニンジンジュースからべジソバを発案する

 べジソバのアイデアは独立開業するに際して、独創的でかつラーメンの裾野を拡大するメニューをつくろうという発想がベースとなった。

 開業準備中に、知人のマーケッターやイタリアンシェフに相談。フード全般の中でラーメンのポジショニングからその世界でナンバーワンになる方法などについて語り合った。

 あるとき、宮崎氏が師匠である河原氏と一緒にホテルのラウンジでニンジンジュースを飲んでいて、河原氏にこう尋ねた。

「これ、ラーメンになりますかね?」

 河原氏は、ラーメン市場の中に独自の路線を築いた人物だけに当然挑戦することを支持する。また、べジソバは、既存の家系、ジロー系、つけ麺といった系統とは全く異なる新しいカテゴリーである。これを手掛けることは大いなるブルーオーシャンではないかと考えた。