「健康的な生活」というブランディング

 このたび、筆者はFTGの社長・副社長にインタビューをすることができた。

 筆者の興味は、NY出店によって街の動向にじかに触れて、どのようなことを感じ、事業にどのような波及効果をもたらしているか、ということであった。

 彼らは、NYでふたごの営業をする一方で、NYで繁盛している業態を日本で展開することを画策して店舗視察を熱心に行ったという。FTGの2人はこう語る。

「NYでは肥満を気遣う人が多いので、街を走っている人も、スポーツジムの存在も日本の感覚よりもはるかに多い。日本でもスポーツクラブの動向を見ていて、より健康を際立たせているところが伸びている。そこで、ヘルシーやウエルネスの分野が伸びるものと感じました」

「サラダ食は経済成長とリンクしていると思います。経済が成長途上にある国では肉食の傾向が続きますが、しかし、経済成長が一段落して成熟した国では健康志向が強くなります」

 GREEN BROTHERSではこの春にメニュー改訂を行っている。メニューは生野菜だけではなく、チキン、生ハム、ソーセージなどを加えた。また、サラダを包んだ「ピタ」もメニュー化し、同店を訪れる動機や客層を広げた。価格は、定番のもので1080~1230円となっている。

 この価格については、このような考えを持っている。

「サラダ専門店はお客さまにとってはファストフードです。そこで現状の価格帯を800円のレベルにする必要があると思います。そのために生産者との直取引やセントラルキッチンを設けて効率化を図ります」

「サラダがコンビニでも買える存在になっている中で、GREEN BROTHERSはコーヒーのスターバックスのようなポジションになっていきます。そのために、ブランディングをきちんと行っていきます」

 GREEN BROTHERSのブランディングとは「健康的な生活」という意味のようだ。売上げを客単価×客数という発想で捉えるのではなく、お客さまの食生活の中にGREEN BROTHERSでサラダを食べた経験が「心と身体を整える」という心地よい体験として記憶に残り、「お客さまのライフスタイルを整える」というブランドステートメントである。

「1週間に1回食べていたのが3回になり、自分の身体が健康になっていることに気付くことでGREEN BROTHERSのサラダを食べることが習慣化していく。このようなコンセプトの軸がぶれないようにしていきます。そこでヨガとコラボしたフェスを開催、運営したり、このようなカルチャーの方向に進んでいくものです」

国内のふたごは地方展開を進める

 創業の業態であるふたごは、今年から地方都市での展開を進めていくという。

 現在想定している都市は名古屋、大阪、福岡。ここに直営とFCで展開する計画だ。

「国内でのふたごのビジョンを描いて地方での市場調査をしました。そこで分かったことは、地方都市にはまだまだ焼肉店の可能性があるということ。地方には強烈な競争が存在していません。現在頑張っている焼肉の繁盛店は、祖父母の世代から受け継がれて経営しているところです」

「東京のように新しい店ができて、そこに負けないようにメニュー変更をして、という危機感にさらされていない。ですから、昔のままの焼肉店で繁盛している。その土地に根付いているのです」

 このような地方都市の市場環境の中で、ふたごは新しい刺激的な存在になっていくものと2人は確信している。差別化のポイントは、ふたごは生業店に近いコンセプトでより地域密着で経営すること。しかも、それがきちんと整った教育体制でぶれがなく仕組化されているということだ。

 また、地方都市の昔ながらの繁盛店の客単価はふたごより高いところもあり、ふたごが出店することによって新しいニーズを引き出す可能性があること。家賃や人件費も低いことから一都三県で経営するよりも損益分岐点が低く抑えられる。

 同社の経営理念は当初「親孝行」を掲げていたが、2014年より世界に視野を広げ「焼肉文化を世界に」と掲げるようになった。そして現在は「MAKEYOU WOW」「新たな価値を創造し、世界に驚きと感動を。」となっている。このように変更したのはなぜか、これによってどのような企業像を描いているのだろうか。

「当社が創業したときの目的は『親孝行』でした。その後、それがある程度できてきて、2年前に理念を変更しました。そして『何のために出店しているのか』と考えたときに、理念を見直すようになりました。それを1年くらいかけて行ったのですが、その過程で出てきたことは『お客さまに喜んでいただく』とか、『新しいものをつくり上げる』『感動してもらう』ということでした」