焼肉店チェーンの「大阪焼肉・ホルモン ふたご」(以下、ふたご)を主力業態とする株式会社FTG Company(以下、FTG)では、現在多業態路線を推進している。中でも、サラダ専門店「GREEN BROTHERS」には次の成長ステージを模索する役目を想定している。同社は2015年5月にニューヨークに出店したが、それ以来、日本国内での展開に変化が見られている。

 ふたごが1号店を出店したのは2010年5月、東京・五反田である。経営者は、李純哲氏と李純峯氏(社長・副社長)という双子の兄弟。2人は大阪で焼肉店を営む家庭で育ち、「親孝行」を経営理念に掲げて独立開業した。同店はにわかに評判を呼び、2013年には東京、神奈川に15店舗と広がった。

丁寧な接客とサプライズのある看板商品

 

 この急成長を裏付けるふたごの特徴は、まず、お客さまに密着するような接客である。お客さまが注文した肉を従業員が焼くサービスを行っていて、ベストな焼き加減で提供する他、焼いているときにお客さまに語り掛けている。このときの話題が世間話はもとより時には身の上話に及ぶこともある。それが、お客さまにとってとても楽しく、リピーターをつくっていった。

 次に、看板商品である「黒毛和牛のはみ出るカルビ」の存在。これはカブリ、ゲタ、リブマキ、リブ芯の部位がロースターからはみ出る大きさで1枚になっていて、これを従業員がお客さまの前で切り分けながら焼く。これらの仕組みは詳細な教育プログラムにまとめられていて、従業員のスキルが向上し、次のステージに挑戦できるように、ランクと時給がリンクしている。これが従業員のモチベーションを高めるとともに接客のスタンダードが均一化されて、同社を成長させる力となっている。

 このようにふたごは、一店一店が生業店の雰囲気を保ちながら、現在、東京・埼玉に38店舗、FTG 全体では7業態、総店舗数58店舗となっている(2018年4月末現在)。

 FTGでは海外展開も積極的に進めている。この端緒は2014年2月、FCによる台湾出店で、その後中国へといずれもFCで展開していたが、直営で2014年12月ハワイ、2015年5月ニューヨーク(以下、NY)に出店した。

ニューヨークのふたごの店

 海外展開を始めた当時の経営理念は「焼肉文化を世界へ」。世界の中での日本食は、寿司、ラーメンはよく知られる存在であるが、焼肉をこれらと並ぶ存在にするということを目標とした。

 NYの店はマンハッタン南西部のチェルシー地区にある。このエリアは人通りが少なく、目的来店が主となるが、バーカウンターを含めて70席の規模で、現在1日3回転するという繁盛が定着している。客単価はチップを含めて100ドル程度で、NYでは大衆業態の「牛角」と高級業態の中間に位置して、新しい市場を発掘した存在となっている。

 このNYでの経験は、日本の事業に大きな実りをもたらしている。

 まず、2016年から2017年にかけて業態を増やした。2016年7月に「GREEN BROTHERS」1号店をオープン、さらに「肉亭ふたご」「BUTCHERS’MOTHER」「YAKINIKUFUTAGO 37West 17th ST」「DEAR DAUGHTER」と展開していった。これによってサラダ専門店の客単価1000円から、ふたごの4500円、肉亭1万円、17thSTの1万5000円とポートフォリオが整った。

 今日、サラダ専門店はブームの渦中にある。飲食業だけではなく、コンビニでも強い商品として定番化している。消費者にとっては、オケージョンに合わせてサラダ食を楽しめる。この傾向はさらに広がりを見せるのではないか。