まずは自分のために働いてみる

 こういうことは、販売の現場でも結構あるのではないかと思います。仕事のできる人、売れる人は「知識」も「技術」も圧倒的です。さらに知らないところで、自分以外の人もうまくいくようにこっそりサポートしています。何も具体的な行動だけでなく、「大丈夫かな?」と気にかけて見守ることだって立派なサポートです。

   そんな超人たちを目の前にすると、途方もなく見えて「あそこまでしなければ評価されないのか」と気が遠くなりますよね?私はなります。

 とは言え、できなければできないなりに、売れなければ売れないなりに凡人も頑張っています。頑張れば頑張るほど、周りが見えなくなることがあります。本部もスタッフもお客さまも、何でこんなにやっている自分の頑張りを認めてくれないのだろうとやきもきします。この状態で他人に期待すると大抵の場合、報われません。

 だからまずは自分のために働いてください。自分が楽しく働かなければ、売れるわけがないのです。楽しさがあって、圧倒的な下積みがあって、その先に売上げという結果があるのです。

 販売という仕事は、売れないと自分のアイデンティティーが崩壊しそうになります。自分の入った日や時間帯に売上げが0だと、営業時間中にしていたあれもこれもは全て無駄で、何をしていたんだろうと呆然として無力感を感じると思います。

 私がそうでした。私は、売れない販売員でした。店長になったこともありません。そのため残念ながら、私の口から売るための方法を伝えることはできません。でも、だからこそ売れない人、できない人の気持ちは誰よりも分かります。そして幸い人には恵まれてきたので、売る販売員や仕事のできる人たちのことを、伝えることはできます。

「売れなくて悔しい、悲しい」という今の気持ちを、必要な無力にしてください。売れている人は、仕事のできる人は、五月病なんて感じる暇もないくらいに途方もない努力をしています。

「こんなに給料安くてハードワークなのに、そんな努力をしなければいけないのか」、そうです、販売ってそういう割に合わない仕事です。ものすごい知識を身につけなくてはいけないし、初対面の人にも笑顔で話し掛けるコミュニケーション力は求められるし、売れないと居場所はないし、本当はとてもとても難しい仕事です(でも実はどの仕事もそうです)。

「売れる」はできても、「売る」ことは難しい

 だから焦らないでください。商品自体の良さで「売れる」ことはよくありますが、商品を「売る」ことは、本当に、本当に難しいです。売上げを基準にすると辛くなるショップが今はほとんどだと思います。もちろん売ることは店が存続するための最優先事項ですが、個人としては楽しむことを念頭に置いてもいいと思います。

 あなたがそこまで頑張っても、周りのスタッフには「私より給料をもらっているから、働く時間が長いんだから(頑張って当たり前でしょ)」と言われ、「何かあの人熱いんですけど~(笑)」と冷やかしの対象になり、本部には「アイツに任せておけば売れるだろ」とプレッシャーをかけられ、売れないと、口には出されなくても「何で?」と冷たい目で見られる。

 だから結果を出すまでは、頑張る理由は、自分のためでいいです。ただしがむしゃらに頑張るのではなく、「自分を楽しくさせるため」に頑張ってください。楽しそうにしている人に人間は集まります。つまらなさそうに負のオーラを出している人からは、人間は離れていきます。本人が人前で隠しているつもりでも、にじみ出るものは確かにあります。もし、スタッフ全員が心から楽しそうに働けたら、それは最高の集客術になります。