2020年7月24日から9月6日までの約1カ月半、毎日何十万食におよぶ弁当が必要となる。

 今年3月、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会より「東京2020大会における飲食提供に係る基本戦略について」(https://tokyo2020.org/jp/games/food/strategy/)が発表された。2020年夏に開催される東京オリンピック・パラリンピック(以下「東京2020大会」)に向けて、参加選手はじめ関係者、観客、ボランティアまでを対象とした飲食提供の仕組みを整えようというもの。衛生、安全、環境配慮はもとより日本固有の食文化を取り入れた飲食提供のサービス態勢をとるための活動指針も示されている。

 オリンピック期間中で16万8000人、パラリンピック期間の9万8000人を合わせるとボランティア含むスタッフだけで合計26万6000人にのぼる。これには選手、関係者はもちろん観客も含まれない。

 これらのスタッフが配置されるのがメーンスタジアムである新国立競技場はじめ日本武道館、お台場海浜公園、幕張メッセなどの主要会場含む首都圏約40カ所の競技会場。そこでは飲食提供の施設だけでなく、弁当などのデリバリーも必要とされる。その数量が先述の規模と見込まれる。

 弁当の製造・提供業者の必須要件についても、製造側では食品製造から流通過程での安全管理の仕組みであるHACCP、ISO22000などへの対応が必要となる。さらに一時的に大量の飲食物を提供することによる食材、包装材などの廃棄物の抑制を含めた持続可能性に配慮した取り組みも求められる。

 また東京2020大会の開催が食中毒リスクの高い真夏である点も対応を難しくしている。

どうなる?首都圏の有望ベンダーの対応

 以上の要件を満たす業者となると首都圏に拠点を置くスーパーマーケットチェーンに供給する食品メーカーの工場が挙げられる。またセブン‐イレブンはじめコンビニ大手チェーン向けの米飯ベンダーも有望だろう。例えば、セブン‐イレブンのメーンベンダーであるわらべや日洋は全27工場で1日当たり600万食(調理パン、デザート含む)を製造している(同社資料より)。その生産拠点の半数が首都圏にあるだけに対応能力はありそうだ。また、同社と同等または準ずるベンダーとの協働態勢であれば対応可能にみえる。

 ただし、わらべや日洋を筆頭に多くのコンビニ向けベンダーがチェーン専用商品となっており、取引先チェーン以外を対象としたデリバリー対応は難しいと思われる。またGAP対応の食材確保、万人が食べられるメニュー、廃棄を極力出さないための量目、包材選定などの仕様の改良も必要となる。

 現状、各ベンダーともコンビニ店舗への供給で逼迫している上に設備の改良、要員確保を伴う取り組みには二の足を踏むだろう。

 とはいえ、世界中が注目する一大イベントを成功に結び付けるためには、ボランティアの力は欠かせない。そしてその力の源である食の提供も同様に不可欠だ。製配販一体となった食のサプライチェーンのさらなるイノベーションの契機としたい。