◆ファームステッド (farmestedapp.com)

ファームステッドの最も人気のある商品ページ。【出所】farmsteadapp.com

AIで需要を予測し、生鮮食品廃棄率を削減する「フレッシュAI」システム

 2017年10月にサンフランシスコで開業したファームステッドは、AIを活用して需要を予測し、その予測に基づいて品揃えを行うオンライングローサリーストアだ。地元生産者の食材を最短60分以内に配達、1回当たりの配送費用は1時間以内4ドル99セント、即日3ドル99セント、それ以降だと無料だ。配送はポストメイツ、ウーバ―・イーツ等のオンデマンド配送サービスと提携して行っている。

 同社のサイトをショッピングしてみたが、一言でいうと超ミニ・ホールフーズ・マーケットのオンライン版と言ったところか。筆者を含めて、一般的な自然派消費者が好む食材・ブランドがコンパクトに詰まっているので何も考えず毎日の基礎商品を購入できる。同社は、まだ創業半年後の今年3月までにトータル480万ドル[2]の融資獲得に成功している。

 AIは以下の領域で活用されている。

(1)最も人気がある商品・ブランドだけに絞り込んだ品揃え

「ファーム・トゥ・フリッジ(農場から冷蔵庫へ)」を標ぼうする通り、地元生産食品を重視しているが、人気があるNBも取り扱っており、いずれもAIを使って最も売れるよう商品展開を計画している。同社ではこれを「編集型グローサリー」と呼んでいる。

 

 5月3日時点で930SKU以上を販売しており(図表)、その品揃えはホールフーズ・マーケットの凝縮版といったところだ。生鮮食品や乳製品、卵はサンフランシスコ近郊農場の食材だ。

 価格はオーガニックやナチュラル製品主体なのでホールフーズと同様の価格帯だが、多くの商品で数量割引を提供しており、例えばバナナ1ポンド49セント→3ポンド1ドル32セント、自然歯磨き粉トムズ・オヴ・メインが1箱5ドル99セント→4箱19ドル16セント(4ドル80セント引き)といった具合だ。

(2)生鮮食品廃棄率の削減

 (1)の結果、通常の大型スーパーマーケット(SM)では35-40%に達する廃棄率が、同社では10%未満になっている。

(3)コスト削減

 配送ルートはアルゴリズムで算出し、最も短い距離・時間で配送することによってコストを削減している。また倉庫運営についても、ピックパック専用ソフトウェアを使用して大口オーダーでも5分以内に梱包を終了し、人件費も節約している。

(4)「フレッシュAI」

 今年3月、同社は廃棄率削減に成功した独自のシステムを、「フレッシュAI」ビジネスプラットフォームとして、食品販売業界にサービス提供することを発表した。

 フレッシュAIは、過去の売上げデータや関連営業データを入力すると、入力データおよび消費者の嗜好などの関連データを分析し、日別・週別に必要とされる在庫数、仕入数などをSKUごとに算出する。食品廃棄率やマージンなども自動計算する。このプラットフォームと契約すると、企業はセルフサービスでデータをインポートし、管理できる。

 従来のSMの商品管理システムでも売上げデータや天候、競合店情報などに基づいた在庫管理を行っているが、ここまで廃棄率を下げられる秘密は、AIによって企業がカバーしきれない消費に影響する細かい要素を売上予測に反映させているのではないだろうか。さらに品揃えに関する筆者の第一印象では、「取引先とのしがらみやマーチャンダイジング理論お構いなしで、本当に売れそうなものだけピックアップで販売している」という感じで、「もしかしてその理論武装のためのAI?」は考え過ぎか。

 もっとも同社はまだ業歴が浅く、営業範囲も販売商品数も限定的なので、このシステムがどこまで有能なのか未知数ではあるが、AIが食を含む全ての領域で、そして企業規模を問わずに広がっているアメリカの今を代表する事例とは言えるだろう。


[1] makinglemonadeblog.com [2] 出所:crunchbase.com