いつでも注文ができ、商品が自宅に届くネット。リアルはわざわざ店舗まで足を運んで商品を持ち帰る。利便性では圧倒的にネットだが、リアルな体験するという点では店舗が勝る。その一つ、食事というリアルな体験はネットでは決してできない。

 ショッピングセンター(SC)にとって、フードゾーンやエンターテインメントはますます重要性を増している。来場を促す効果のあるイベントも欠かせない。時間を過ごしてもらい、滞在時間を長くし、ショッピングやエンターテイメントに結びつける。

 4月27日にグランドオープンした中四国最大級のアウトレットモール「THE OUTLETS HIROSHIMA(ジ アウトレット ヒロシマ」(広島市佐伯区)でも、シネマ、アミューズメント施設、フードコート、レストランといったコンテンツを充実させている。

映画にスケート、ボウリングに体験型エンタメも!

 1階の「ほしかげシティ」は、広島最大級のエンターテインメントゾーン。シネマコンプレックス、屋内スケートリンク、ボウリング、アミューズメント施設などを設け、フロア中央にはイベントスペースも用意している。

 注目は「ワンダーリンク」。これは通年楽しめる日本初のアイススケートリンクで、カーリングや車をぶつけて遊ぶ「バンパーカー」、アイスバイクも楽しめ、「トランポリンパーク」も備えている。

「プラサカプコン広島店」は、アミューズメントゲーム、ボウリング、VR(仮想現実)体験、カラオケキッズコーナー、バーチャルとリアルが融合したスポーツゲーム、カラオケ、「あそび王国ぴぃかぁぶう」「フード&ドリンクコーナー」が展開され、家族全員で楽しめる施設になっている。

 9スクリーンの「イオンシネマ広島西風新都」は、「くらしに、シネマ」をコンセプトにした新デザイン、最大劇場に音響に全席均一となる「ヴィヴ・オーディ」を使用。全てのスクリーンでゆったりシートを採用している。

「イベントコート」では、さまざまなイベントを開催し、約12mの大型LEDビジョンも設置。天井照明と連動し、きらびやかなエンターテイメント空間を演出、情報発信も行う。

 アウトレットモールは、ショッピング目的だけではなくレジャーや観光の要素もあり、こうした取り組みはそうした要素を需要として取り込み、リピーター獲得につなげていこうとするものだ。

「御殿場プレミアム・アウトレット」は遊園地の跡地ということもあり、かつては観覧車などの遊戯施設があったが、今回の「THE OUTLETS HIROSHIMA」の取り組みはさまざまなコンテンツを導入し、さらに進化させたものといえるだろう。エンターテインメントはアウトレットモールだけではなく、ショッピングモールと親和性があり、特に広域型では必須アイテムとなりつつあり、今後も新たなコンテンツが登場してくるだろう。

広島の地元グルメに全国の人気グルメも楽しめる!

 一方で、巨大なフードコートをはじめフードゾーンの拡充も進んでいる。「THE OUTLETS HIROSHIMA」では、1階に3つのゾーンに分かれた広大なフードフロア「にしかぜディナー」を設けた。31店舗が出店する約1000席のフードコート「Food Forest(フードフォレスト)」。イベント用ステージでは、毎週地元のミュージシャンによる演奏などを行い、食事をしながらエンターテインメントを楽しめる。事前予約制の観光ツアーの団体席も約150席も用意した。

 店舗は「丸亀製麺」「いきなり!ステーキ」といった全国チェーンだけではなく、広島の天津丼が人気の「中華料理 蓬莱」、カウンター越しに揚げたてを提供する「博多天ぷら たかお」といった特色のある店舗も出店している。

「きんさい横町」は、瀬戸内・広島の地元のグルメゾーン。ノスタルジックな空間に気軽に入店できるフードコートとレストランが融合したような店構えで、11店舗で構成されている。

 地元は広島流お好み焼きがメインの「鉄ぱん屋 弁兵衛」、広島の老舗のまつの屋の新ブランド「蕎麦の気持ち。」や、「麦とろ瀬戸内物語」など 岡山からは豚蒲焼発祥の店「かばくろ」が出店している。

 普段使いから「ハレの日」需要まで対応するカジュアルレストランゾーン「グランドダイニング」。ステーキと炊き立てご飯が売りの広島の「萬まる」、カツオ料理の高知の「土佐わら焼き 龍神丸」など9店舗からなる。

 こうしてフードゾーンを3つに分けたことでさまざまなニーズを取り込み、新たな需要も喚起する(これからはアウトレットの中で飲食機能もますます拡充されていく)。

 地元の味は、遠方から来店するお客には地元グルメとして楽しめ、地元客には慣れ親しんだ味になる。そして全国の味も楽しめ、多彩な店舗構成を持つ点は大きな魅力となっている。

 アウトレットモールのフードゾーンは内外の観光客も意識して拡充の歴史をたどってきた。広域型のデベロッパーにとって魅力ある店舗を発掘し誘致するか、ときには業態開発もサポートするが、今、その手腕が問われている。

「THE OUTLETS HIROSHIMA」の取り組みは、アウトレットモールにとどまらず、広域型SCにとっての一つの新しいモデルを提示している。

<約800㎡の鏡を多用し音と光を演出した通年型屋内リンク「ワンダーリンク」。滑走料金は平日120分、土日祝60分1200円、手押しの滑走遊具、小学生以下の子供を乗せられる滑走補助具も用意している。営業時間外には90分貸切も可能。カーリングは1人3投600円、90分の1人3000円のカーリング教室も開催する。氷上で楽しめるバンパーカーとアイスバイクはいずれも日本初登場。併設されているトランポリンパークは西日本最大級。平日20分、土日祝10分600円。
ガターのないバンパーレーンや投球台も用意し、子供でも安心して遊べ、カープ球団をデザインモチーフにしたレーンやボールも用意した12レーンのボウリング場。1ゲーム一般・大学生600円、中高生500円、小学生450円、カープレーンはプラス100円。菓子靴料金は300円。
野球、サッカー、アーチェリーなどさまざまなスポーツを体験できる「レジェンドスポーツヒーローズ」や、ダーツ・ビリヤードも楽しめる、バーチャルとリアルを融合した体験型スポーツテーマパーク。体験型野球アミューズメントマシン「レジェンドベースボール」は、カープ球団デザインの特別仕様。利用時間は各ゲームで異なるが一般・大学生1500円、中高生1300円、小学生1000円、未就学児無料。追加料金10分200円。
VRコーナーは、国内初登場の6人同時プレイが楽しめる「ゾンビウェイ」をはじめ、多人数で楽しめるマルチVRを多数導入した。5枚の基本チケットは2500円。
定番のプライズゲームからメダルゲーム、キッズカード、プリクラ、音楽ゲームまでオールジャンルの最新機種を約360台設置する大型アミューズメントゾーン。ビンゴ大会や、 店内を走るロードトレインに乗れる子供向けのイベントなども開催する。
ファミリーやグループで気軽に楽しめるカジュアルなカラオケルーム。ニューヨークの街中にいるようなおしゃれなデザインコンセプトのルームに、JOYSOUNDの最新カラオケマシンを用意した。1人ワンドリンクオーダー制で30分、一般・大学生平日190円、土日祝290円、小中高生・55歳以上140円、240円。ポテトや唐揚げなど気軽につまめるものから、カプコンキャラクターをモチーフにしたオリジナルドリンクを楽しめるフードカウンター。パスタやピザなどのメニューも用意している。
保育施設や文化施設などで子供のための遊び環境づくりを手がけるジャクエツが監修した大型キッズコーナー「あそび王国ぴぃかぁぶう」。全長12mのアスレチック遊具や3万個のボールプール、200冊の絵本コーナーなどがある。30分500円、延長10分100円、1日20枚限定の1日フリーパス(子供・大人各1人)は1700円。
フードコート「フードフォレスト」は約1000席。テーブル、カウンターなど席が配置され、カジュアルな空間や落ち着いたスペースなどさまざまで人数、人数や、シーンに応じて使うことができる。
丸亀製麺に代表される全国チェーンから、フードコートの人気店「博多天ぷら たかお」「三田製麺所」など、地元広島の「蓬莱」まで多彩なラインアップのフードフォレスト。
 
地元のグルメゾーン「きんさい横町」。広島流お好み焼き、府中の白そば、ラーメン、豚蒲焼など広島ならではの味が気軽に楽しめる。
レストランゾーンの「グランドダイニング」。広島のあなご飯「安芸乃」、豚丼など特色のある飲食店9店舗で構成されている。
 
広島の「J‐CAFE」、マンゴースィーツインターナショナルの「H's CREAM and COFFEE.エイチズクリームアンドコーヒー」、「パフェとチーズ 風車」などカフェや喫茶店も各所に設けている。「366 SPORTS HIROSHIMA」はスポーツカフェ&ショップ。物販は野球の広島東洋カープを中心に、Jリーグの「サンフレッチェ」、バレーボールVリーグの「JTサンダーズ」、バスケットのB.リーグの「ドラゴンフライズ」のグッズを取り扱っている。
 
「イベントコート」では、オープン時、テナントの「SAKKA ZAKKA」の協力を得て、アート作家のデモンストレーションが行われていた。約12mの大型LEDビジョンデモはさまざまな情報を発信する。